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七、ヒート×けれど気持ちは①

「俺、生徒会に入ることにしたんだよね」 「……」 「理由は、親たちからの信用回復とあと格好いいじゃん? 壮爾さんも生徒会で頑張る俺に見直してくれるかもだし」 「……それを本人に言いに来るメリットってなんですか」  三年の教室に来て、半ば強引に睨みつけて脅して席を奪い、僕の目の前に座っている彼。  できれば利圭が帰ってくる前に退散してほしい。利圭が何をしても僕は助けたくない。 「学校で会えなくなると寂しいかなって」 「一ミリも」  というか、僕たちはなぜこんなに慣れ慣れしく会話しないといけないんだ。  ……さっさと帰ってくれないかな。  今は彼の匂いがとても鼻につく。心がざわざわして落ち着かない。  動悸が激しくなって意識がとんでしまいそう。  これはヒート直前の体調の変化なのだとしたら、彼に気づかれたくない。  ので、通常通りの落ち着いた気分で接していたい。 「俺は寂しいからこうやって来てんの」 「なあにを生意気な。三年の教室に一年が来てんじゃねえぞ」  パンを盛って現れた利圭が、殴りかかりそうに睨みながら教室に入ってくる。  妃芽之くんが苺ジュースのパックを飲みながら、にやにや見ている。  沖沼くんが僕たちに追い出されている姿は楽しそうだ。 「利圭先輩、ちっす」 「しね。きえろ、ごみかす。俺に返事してほしかったら一回一万だせ」 「今度持ってきます」  利圭に頭を下げたのち、僕の方を見た。 「いつでも俺を呼んでほしい。これ、俺の電話……」 「おおっと、手が滑った」  利圭により、渡そうとしていた紙は丸められてゴミ箱に投げ捨てられた。  三敗中の彼は、少し悲しそうな匂いをしたまま背中を向けて帰っていく。  利圭も僕も、番相手に未だに連絡先を交換していないのはいかがなものだのだろう。 「電話番号ぐらい交換しときなよ。利圭くんは征一郎としてるでしょ」  メロンパンを食べながら妃芽之くんは言うが、利圭の顔は渋い。 「ゲーム機二台とチャリ買ってもらったからな。パパ活相手の電話番号は仕方ねえだろ」 「パパ活って。同い年じゃん」 「俺みたいな可愛い子と、生徒会長みたいな転生五週目みたいなおっさんを同い年にしてほしくねえな」

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