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2.2
苦いくらいのタバコのフレーバー。
驚いて息が止まった。
腰と後頭部をガッチリ捕まれて
体をぴったりとつけて壁に押し付けられて
逃げることもできない。
「ん…ぅんーーー!!」
九条さんの舌が遠慮なく押し込まれて
口内で俺の舌を舐めあげてくる。
そのざらざらした感触に
腰が痺れて…
その瞬間
ー え、え? ナニこれ?
頭の奥でシューと音が聞こえた気がして
何かが身体中に一気に流れ出す。
ー 熱い、熱い!!
身体中が熱くなって
その熱が下半身に集まっていく。
「な、に、?」
手 足がガクガク震え出して
立っていられない。
苦しくて息も吸えない。
抱き抱えるように九条さんに支えられた。
「自分でちゃんと感じた?
ヒート」
「…え、? 違っ…」
「もう無理だよ
さすがに。
スッゲー匂い
これで気づかないヤツなんていない
送ってやるから帰んな」
反論したくてもできない
呼吸が上がって
身体がジンジン痺れて
もう一度
今のキスをしてほしい………。
九条さんはポケットから携帯を取り出して
手早くメールを打つと、すぐにそれを
ポケットに戻した。
「班長には気分悪いから帰らせるって
送っといたから」
そう言うと俺の腕を自分の首にかけて
ひょいっと背中に背負った。
「え、え?あ、歩けます!」
「でも、ガッツリ勃ってんじゃん」
ー っは!
「いいから、寝たふりしとけって
誰かにフェロモン気付かれる前に店
出てやるよ」
俺が返事をする前に九条さんは
そのままトイレの外に出た。
言われたとおり、ぎゅっと目を閉じて
肩に顔を埋める。
「うわっ!く、九条さん?
それ誰?か、ずま?」
ー やっぱりこの人、九条さんか
みんなの飲んでいる座敷の前まで戻り
座敷には上がらずに、気づいた社員にだけ
声をかけた。
「誰だよ、未成年につぶれるまで飲ましたの
送ってくから、コイツの荷物取って」
「え、あ、はい」
気づいた数人がザワザワと声をあげる。
九条さんはそれを無視して、荷物を受けとると
じゃぁ皆によろしく、と言って
さっさとその場を立ち去った。
「スゲー匂い…早く車乗らないとまずいな」
九条さんが一人言のようにつぶやいた。
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