11 / 122
2.4
「俺、本当に無理です…
お願いします
ウチに…送って下さい」
祈るように目を閉じて懇願する。
「……おまえ、他に男でもいるの?」
「………」
居ると言ってしまおうか?
でも、ソイツに連絡して向かえに来てもらえ
なんて、言われたらどうしよう。
「いないならいいじゃん
誰かに文句言われる事もない
ただ気持ちいい事するだけだよ」
ー 気持ちいい事…
そんな言葉を聞いただけでも勃ちそうだ。
「どうする? 帰って一人で抜く?」
腿の上に手を置かれる。
ダボっとしたデニムの上からでも
大きな手のひらの熱さが伝わってくる。
「俺おまえとシたいな…」
顔が近づいてきて思わず目を閉じた。
でも、唇が触れる事はなく、頬に九条さんの
浅い息がかかっただけだった。
目を開けると九条さんが今にも触れそうな距離で
俺の顔を眺めていた。
「キスしたい…」
言いながら俺の頬つまむようにして
指先で優しくなでる。
じっと唇を見つめられて
胸がゆっくり上下するほど息が上がってしまう。
触れられてる腿が、頬が熱い。
見られてる唇も熱い。
何よりアソコが1番熱い!
ー もういいから早くキスしてくれ!
目をぎゅっと閉じて自ら口をつきだしてしまった。
唇は触れただけ。
九条さんが動かないので
思わず眉を寄せて目を開ける。
俺の顔を見て九条さんがニヤリといやらしく
笑ってた。
「不満そうな顔するなよ
もっとエロいキスしたかった?」
そう言われてカッと顔が熱くなった。
ー からかわれた!
情けないやら悔しいやら、訳が分からなくなって
九条さんを押し退けて、車のドアを開けた。
とにかくここから逃げ出したかった。
ドアが開く前に九条さんが俺の二の腕を捕まえて
一気に座席に引き戻すと
頭を抱えるようにして、激しく唇を重ねられた。
トイレでされたように、舌が奥まで差し込まれて
逃げる俺の舌を捕まえようとしているみたいに
口内で暴れている。
「ううっぅ…苦し…」
はあはあ 息を乱して俺が音をあげると
ようやく九条さんは唇を離す。
「ごめん、ごめん。いじめすぎた」
ともだちにシェアしよう!