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3.3
九条さんは言った通りコンビニに寄って
レトルト食品などを買い込み
俺に持たせてくれた。
俺が買って欲しいと頼んだ量の倍になっていた。
「お金…」
「いらん。今度なんか奢って」
「…すみません」
家につくと俺を車から下ろして
駐車場から目と鼻の先にある、2階の俺の部屋
まで荷物をもって送ってくれる。
見た目はワイルドなのに、実は繊細なんだな。
このわずかな距離まで心配して
ついて来てくれるなんて。
「じゃぁ、ゆっくり休めよ!」
玄関先で荷物を俺に渡すと、さっさと踵を返し
車に戻って行く。
「あ、ありがとうございました!」
慌てて玄関を飛び出した俺に、笑って
手をヒラヒラふって帰っていった。
一人になったら、どっと疲れが押し寄せた。
狭いボロい1LDKの俺の部屋だけど
やっぱり1番落ち着く場所だ。
とりあえず抑制剤を飲んでベッドに倒れこんだ。
朝も九条さんがシてくれたお陰か、疼きは
治まっていた。
それでも昨夜の色々な行為が頭を駆けめぐると
体が熱くなる。
ー 九条さん…思ってたより
いい人なのかも…。
あそこまでしながらやめたのは
俺への気づかいだ。
…それにしても痛かった。
最後まで、できる気がしない。
そんな事を考えていたらベッドの下で
転がっている携帯が鳴った。
画面を見ると“政実”の文字。
俺は慌てて受話をタップした。
「ハイハイ」
(ネギ、今日暇?)
「え、何で?」
(7時頃からカラオケしないかって村山から
回ってきて…)
「…あーそっか、でも俺昨日飲みすぎで
死んでるから今日はいいや。ごめん」
(ネギが飲みすぎなんて珍しいね。
了解!またな~)
せっかく政実から誘ってくれたのに…
発情期じゃなければ、二日酔いなんて
気にもしないで出かけていた。
発情期のせいで政実に会えない…。
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