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5. ハナセナイ
「1回換気していいですか?」
狭い部屋はエアコンが効きまくり寒いほどだった。
その中で、お互いのフェロモンやセックスの
匂いが籠っていて、このままでは、また
おかしくなりそうだ。
「おまえ、ずっと窓も開けずに籠ってただろ
俺来たときスゲー匂いだったぞ」
「いや、日中は時々開けてたんですよ
でも薬のせいか夢うつつで…寝ちゃって
寝てる時は窓開けとくの怖いし…」
言いながら寝室もリビングも窓を全開した。
「…そっか」
「ゼリー食べていい?」
「食え食え」
思ってたゼリーと全然違った。
でっかいフルーツが丸ごと入ってたし
見た目もなにやらお洒落で綺麗だ。
朝からまともに食べてなかったせいか
胃に染み渡る美味しさだった。
「っあ~!めっちゃうまい!
もう一個食べていい?」
「だろ?食え食え!」
九条さんも一緒に食べていたけどゆっくりだ。
俺みたいにガツガツしてない。
「九条さん…ゼリーって食べ物が似合わない
ですね…」
「なんだソレ!」
「なんてゆうか、体に悪そうな物しか
食べてなさそう…」
「おい、こら、おまえも大概
不健康そうだからな」
「えっ!そんな事ないでしょ
健康気にしてサプリとか飲んでそうでしょ」
「飲んでんの?」
「飲んでないけど…あ、桃めっちゃ旨い!」
「ッフ…」
「…何?」
「いや、急によくしゃべんなって思って」
目を細くして、優しく笑われると
顔が熱くなった。
「スミマセン…久しぶりに人と話して
テンション上がっちゃって…」
「バカ、違う。謝るとこじゃないだろ
元気になってホッとしたんだよ」
優しい言葉をかけられると、何だか照れて
何と返したらいいか分からなくなる。
俺は目を反らしてスプーンを噛んだ。
「近くに親居ないの?回りにβって言ってたら
こんな時頼れるのは親兄弟ぐらいだろ?」
「いないですね…俺一人っ子だし…」
「…そっか」
九条さんはそれ以上家族の事を聞いて来なかった。
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