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「俺んち来る?」 「…は?」 「発情期終わるまで」 「なんで…?」 「ヤりたい時にできるように? ここじゃ音が気になって思う存分できないし」 俺は思わず椅子から立ち上がった。 「な、なんて事言うんすか!」 「シー!窓空いてるから。 …何今さら照れてんの、かわいいな」 にやっと笑って目を見られると、顔から火が 出そうだ。 「もう1回くらいしたいだろ?」 俺は思わず首を振った。 心臓が慌ててる。 「あれ?しないの?」 「し、しない…もう…」 「……ふーん。っそ」 九条さんはゼリーの残りを 味噌汁でも飲むように流し込んだ。 「明日仕事休めよ。あとどれくらいで発情期 終わりそう?」 「2日くらい…?かな」 「じゃぁもうインフルだったとか言って 火曜まで休め」 「…ハ、ハイ」 「よし!じゃ、そろそろ帰るわ」 「え…!?」 立ち上がってイスにかけてあったシャツを着る。 一気に目の前が暗くなった。 昨夜の不安が甦る。 「…あ、りがとうございました…」 靴を履く九条さんの背中に向かって言った。 振り返って九条さんが、俺の頭をポンポン撫でる。 「…何、死にそうな顔してんの」 俺の顔を見て笑いながら言う。 「そんな顔してない」 顔を手で覆うように擦った。 「…素直じゃないな…」 九条さんがクスクス笑う。 心のなかを見透かしてるみたいに。 「もっとあざとく生きればいいのに 甘え上手になるのはそんなに悪い事じゃないよ」 「…どういう意味?」 「別に…なんとなく。 誰かに頼る事を悪いことだとでも 思ってそうだなって、思って」 「……」 「だれかれ構わず頼るのは危険だけど 本当に辛いときにすがり付ける相手の 1人や2人見つけとけよ。俺でもいいよ」 優しく笑われて、笑い返そうと思ったけど 上手くいかなかった。 ー ヤバイ…泣きそう 何でだ? 慌てて背中を向けて無理やり笑った。 「急に、イケメンぽい事 言わないで下さいよ…もう…」 「泣くなよ」 「泣いてないけど」 腕を引っ張られて、あっさり九条さんの腕の中に 閉じ込められた。

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