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「正月は?何してた?」 食後に蓮が冷蔵庫から、ゼリーを出してきた。 「…別に何も…ダラダラして 友達と飲んで…初詣行って…」 「実家帰ったりしてないの?」 俺はゼリーをスプーンでつついて少し考えた。 「帰る実家がないんだ」 蓮は表情を変えずに黙って俺を見ていた。 俺はざっくり自分の生い立ちを話した。 別に隠してた訳じゃないから、話すことに 抵抗はない。誰にでも聞かれたら答える。 でも、楽しい話しではないと自覚してるから 進んで話したりする事は少ない。 「俺も父親いないんだよ」 話を聞いた蓮が、軽い調子で言った。 「俺も父親には会ったことない 母親は俺を妊娠したことを父親に隠して 未婚のまま、俺を産んだんだ」 「どうして?」 「不倫だったらしい。父親は結婚していて 正妻はαで不妊体質だったらしくて子供が できなくて、養子も検討していたって…。 だから…もしお腹の子がαだったら 子供を取られるんじゃないかって、怖くて 逃げだしたんだって」 俺は蓮の意外な生い立ちを知って言葉が 出てこなかった。 心のどこかで、苦労なんて知らずに育っただろうと 思っていたんだ。 「俺たち、ちょっと似てるな」 そう言って、何でもない事のように笑う蓮に 俺は何故だかドキドキしてた。

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