48 / 122

9. 2

「友達と待ち合わせ…店が見つからなくて…」 俺が口ごもるように言うと、蓮がため息をついた。 「店ってどこ?」 「ここ…」 俺は政実から送られて来た地図を見せた。 「ああ、ここか…おまえ行きすぎてるし 一本入る道間違えてるよ」 「あ、やっぱり?」 「送ってやるよこっからすぐだし」 「え、いい!いい!平気」 俺はΩの子をチラッと見て、蓮に 怒ってるよ、と目で伝えた。 蓮は一緒にいるΩの手を握って軽く揺する。 「すぐ近くだしいいよな?」 「……ご勝手に」 「ほら、いいって」 ー いやいや、全然良さそうじゃないし この空気…ナンパされてた時より 気まずい。 「いいよ、友達に電話して、駅に待ち合わせに してもらうから!助けてくれてありが……」 「あ!!ネギ!!」 後ろから元気な声で呼ばれて振り向くと 政実が俺を指差していた。 「え、政実なんでこんなとこに?」 「俺、道間違えちゃってさ この前来たときは友達に連れて来てもらったから 道分かってるつもりが、分かってなかった」 政実は、ハハハ、と声を上げて笑った。 「まぁ、会えて良かったよ」 俺はあきれつつも、これで蓮に送ってもらう 必要がなくなって安堵した。 「知り合い?」 政実が俺の耳にひそひそと尋ねてくるから 職場の先輩、と紹介した。 二人は、どうも、と軽く会釈しあった。 「じゃ、行くね。お騒がせしました~」 俺は政実の腕をつかんで歩きだす。 「飲み過ぎんなよ」 俺は振り返って、ハイハイと返事をして 急ぎ足でその場を去った。 「なんか兄貴みたいな人だね」 歩きながら政実が言った。 「さっきナンパされたの助けてもらったんだよ だから心配してくれたんだ、たぶん」 ー まぁ、過保護はいつもなんだけど 「え!?ナンパ?ネギ、ナンパされたの?」 「ぉぉ… まぁ」 「ゴメン、ゴメン俺が待ち合わせ場所 考えなかったから」 「おまえ、顔笑ってるじゃん」

ともだちにシェアしよう!