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10. 4
昔見たことのあるSF映画をやっていた。
緊張は続かず、俺はすぐに睡魔に襲われて
まぶたが重くなってくる。
そんな俺に気づいたのか、蓮が突然俺の膝の上に
ごろんと横になって、驚いて目が覚めた。
「く、首、平気?コルセットないのに…」
まるで寝てなかった風を装って
普通に会話してみる。
「動かなければ平気」
蓮は俺の手を握って自分の頬に添えた。
「眠い?」
俺が意地をはって首を振ると、クスクス笑いながら
じっと見上げられる。
きっとアホな顔をしているんだろう。
「…うー…もう、眠いよ眠い!」
降参するかしないか、というところで
首の後ろに手を伸ばされて、グッと前に倒された。
口が重なって、下唇をやんわり噛まれて
思わず目がパッチリと開く
「…ん!」
俺が体を起こそうとしても、蓮の大きな手が
首の後ろをガッチリ掴んで離してくれなかった。
舌が上顎の裏をなぞって、逃げる俺の舌にも
絡みついて、下半身が反応しそうになる。
「苦しいってっ…」
もがいて、やっと唇が離れても
首をロックしたまま、息が届く距離で
しっかりと俺の目を見つめて逃がさない。
ー これ、前にも経験あるぞ…
こっちが我慢できなくなるのを待ってる
くそっ!負けるもんか!
唇をきゅっと噛んで身構えた。
「フェラして、和真」
思ってもみない言葉を投げられて固まった。
ー コイツ…あっさり勝負を捨ててきたな
まぁ俺が一人で戦ってただけだけど…。
というか、待って…この状況…。
「…ベッドに行く?」
「お、大人しく寝るんじゃなかったの?」
「ップ、寝かすわけないじゃん」
蓮は自分の首を押さえながら起き上がった。
ー あ、コイツ開きなおってる…
立ち上がった蓮が俺の手をひいた。
「ねよ」
「…お、おれ、やったことないけど…」
「知ってるけど」
弱気になる俺を見て、蓮が子供みたいに楽しそうに
笑った。
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