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「え?」 「蓮の家に最近よく現れる“匂い”」 碧斗が何を言いたいのか分からなくて 混乱したまま、彼を見つめた。 「蓮は誰でも受け入れてるように見えて 誰も受け入れない。 君が彼の家に入り込んだ事で、自分は特別で 他のセフレとは違うなんて思ってたとしたら それは勘違いだよ」 碧斗はソファーに座り直して、見下すみたいに 俺を見た。 「蓮はずっと、1人のΩの事を忘れられずに いるんだ」 頭の中が真っ白になった。 聞きたいような、聞いてはいけないような…。 「さっきも言ったけど君が勘違いしてないなら いいんだ」 「碧斗…さんは?蓮の家に行ってるの?」 「もちろん 行ってるよ。 あ、でも僕はセフレじゃないよ」 碧斗はクスクス笑って頬杖をついた。 「蓮の大切な人の弟」 幼馴染みの弟だって… 碧斗の事を、そう言ってた。 俺に話すのが気まずいから、適当な事を 言ってごまかしてるのかと思ってた。 「大切な人がいるのに どうしてセフレなんて…?」 「死んだんだよ」 「…え?」 「自殺したんだ、俺の兄」 ・ ・ 家に帰って携帯を見たら 蓮からメッセージが届いてた。 (今日家まで送れなくてごめん) 俺は何も考えられずに (気にしないで) と返信した。 夕飯を買うのを忘れた。 碧斗と別れてから、あらためて買うつもり だったのに。 音の無い部屋でベッドに倒れて さっきの碧斗の話しを思い出す。 自分の兄は自殺したんだと言った。 蓮と自分の兄、倫斗(のりと)は付き合い始めた ばかりだったと。 子供の頃は近所を駆け回って遊ぶ、ただの 友達だった。でも思春期が来て、自分達の性が Ωとαだと認識してから、関係は徐々に離れて いった。 ところが社会人になってから、2人の関係は また急に近づいて、気づいたら恋人同士に なっていたという。

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