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「そ、つぎょう?」 「俺から卒業?みたいな?」 頭を乱暴に撫でられた。 「頑張れよ」 そう言って笑うと、ポケットに手を突っ込んで トイレを出ていく。 びっくりするほどアッサリひかれた…。 まぁ そうか…。 恋愛してた訳じゃないんだ。 蓮には他にもセフレはいるし、 時々忘れそうになるけど蓮だってαだし。 逃げるヤツを追うほど暇じゃない。 って、とこだろう。 でも、動悸がとまらない…。 何でこんなにドキドキしてるんだ。 トイレを飛び出して、蓮を追った。 「今日さ、クレセントでごはん食べようよ 最後に奢らせて」 「そんなの気にしなくていいよ」 「渡したい物もあるんだ、まあ、それは 大したものじゃないんだけどね…」 「………いいよ、じゃご飯だけね」 「うん、ご飯だけ」 トイレでの会話が最後なんて、なんかさすがに 寂しい。 蓮との関係に区切りをつけるためにも、ちゃんと けじめをつけよう。 そして蓮がいつか言ってくれたように 多少めちゃくちゃでも、自分なりに政実に 気持ちを伝える努力をしてみよう。 ・ ・ 「渡したいものって?」 「あー大したものじゃないんだ」 バックからゴソゴソ、手のひらサイズの小さな紙袋を 出して手渡す。 「わりと前に買ったんだけど 渡すタイミングがなくて」 蓮は紙袋を開けて覗いた。 「…あぁ、お守りね!」 「うんうん、この前 事故ったからさ」 時間が空いた週末に、ふらりと神社へ立ち寄って 買っていた。やっと渡せた。 「…サンキュー」 「安全第一ね!」 2人でハヤシライスを食べながら 他愛もない話しをした。 あんなに冷やかしていたくせに 蓮は政実の事を聞いてこなかった。 俺はホッとしてた。 聞かれたらウソをつかなければならない。 「…約束守れなくて…悪かったね」 「……ホントだよ。楽しみにしてたのに」 蓮は笑いながら俺の足を軽く蹴った。 「まぁ、他のΩとお楽しみ下さいよ」 「今つきあってるΩ、お前だけなんだ」 「え、そうなの?」 「そうだよ」 勝手に碧斗の顔が思い浮かぶ。 「…あの子は? 前に夜会ったじゃん」 「……?あ? あれはそういうんじゃないって 言っただろ?」

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