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13. 6

俺たちの荒い呼吸だけが部屋に響く。 「……本気でヤるわけないだろバーカ」 蓮が俺の頭をパシッと叩いて立ち上がった。 「無理やりヤられる怖さが分かったか?」 俺はしばらく放心状態で床に転がり そのままの体勢でズボンだけを直した。 蓮も下だけ履いて、立ち上がると なんか食う?と部屋を出ていく。 まるで何もなかったみたいに。 俺は信じられない思いでそれを見た。 ー 本気でヤるわけない…? どこが痛いか分からないほど、全身が痛いし 押さえられた腕だって、赤く痕になってる。 ガタガタ震えも とまらない…。 とてもじゃないけど、ご飯なんて食べる気に ならない。 俺はフラフラ立ち上がって、部屋を出た。 キッチンに立つ蓮と一瞬だけ目が合ったけど すぐ反らして、そのまま玄関に向かった。 「和真、待って」 呼び止める声を無視してドアを出た。 何だったんだ? 何があったんだっけ? 何でこんなことになった? 俺が悪かったの? でも謝りたくない。 蓮にあそこまでキレられるような事 俺はしてないはずだ! エレベーターを待つ間、悶々と考えていた。 「和真、送るから待てって…!」 サンダルで駆けてくる、バタバタ騒々しい足音と 蓮の声が聞こえても無視して、エレベーターに 乗り込んだ。 閉じかけたドアをこじ開けるようにして入ってきた 蓮の姿に驚いて、思わず俺は2度見した。 咄嗟に開くのボタンを叩く。 「オイ!冗談だろっ」 蓮はキッチンに居た時と何も変わらず、 上には何も着ないで裸のまま、車のキーだけを 手に持ってそこにいた。 「だって、待てって言ってんのに待たないから…」 「そんなカッコで出てきたら捕まるぞ、バカ」 俺は蓮の背中を押して、小走りで部屋に戻った。 幸運にも誰にも会うことは無かった。 「じゃぁ着るもの持ってくるから、待っとけよ」 靴を履いたまま、玄関の中で待つ。 「…分かったから」 また裸で追っかけられたら たまらない。 本当に俺が待ってるか心配だったのか、蓮は 慌てて戻ってきた。 「…それわざと?服裏返しだよ…」 「え!あれ?」 蓮が恥ずかしそうに、また服を脱いで着なおす。 我慢できなくなって、俺はついに笑ってしまった。

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