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15. 4
ソファーに座る俺の膝を枕にして、
テーブルに手を伸ばして葡萄を食べる。
でも、明らかに自分が食べる回数より
俺の口に入れている回数の方が多い。
ポンと軽く放り込んでたのは最初だけで
蓮は俺の口の前に葡萄をちらつかせ
あげるふりをしては、遠くに逃げる。
俺がその手を捕まえて蓮の指ごと食べると
子供のようにそれを喜んだ。
何度もそれを繰り返すされ、面倒になって
無視していると、今度は自分の口に咥え、
俺の首を引っ張って
キスとともに口に入れようとする。
「全然 映画見れない」
俺が笑って文句を言っても
蓮は俺の言葉を無視して、さらに深くキスしようと
俺の首を捕まえて離さなかった。
「っ蓮…勃っちゃうから…やめ…」
「俺、もう勃ってる」
「……なら、ベッドへ行く?」
「もう限界?」
「…へ…ヘイキ…」
「強がれるなら、まだかな」
「蓮は、俺のフェロモン キツくないの?」
抑制剤は昨日の朝飲んだきりだ。
自分でも体の奥が疼く感覚と火照りがあるくらい
だから、αの蓮が何も感じないわけない。
「キツい…」
「ップ…なんの我慢大会なのこれ」
「でも、そろそろかな…さっきから
急に匂いも強くなってきたし…」
「そ、そうなの?」
蓮が突然起き上がってキッチンへ向かった。
コップに何かを注いで持って来る。
「飲んでみて」
テーブルの上にショットグラスが2個置かれる。
「怖っ…何?」
「大丈夫、ただのお酒」
持って匂いを嗅ごうとしてすぐ顔を背けた。
明らかに強いアルコールの匂い。
「テキーラ?」
「ううん、ウォッカだよ」
「こんな強いの無理だよ、カクテルでしか
飲んだ事ない」
「男子がそんな弱気なこと言わないの」
蓮が俺の肩を抱いてグラスを手に持たせる。
「一口だけいってみな、天国行けちゃうかもよ」
「悪いホストみたいな言い方だな」
俺は眉を寄せて蓮を見た。
蓮はニヤニヤしながらグラスに葡萄を放り込んで
それをすぐ摘まんで俺の口に入れた。
ほんの少しのアルコールが俺の喉を熱くした。
「飲まなくても、すでにどっか行っちゃいそうな
くらい体が痺れてるけど…」
言い訳じゃない、蓮が肩を抱いた辺りから
手足の感覚がおかしくて、細かく震えてる。
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