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16. いつか泣きやんだら

目を覚ますと、部屋の中は真っ暗だった。 体が重い…頭も痛い。 俺どうしたんだっけ? 思考の定まらない頭で横に目を向けると 蓮が自分の腕を枕にして、俺の顔を眺めていた。 「あ、起きた」 蓮が静かな声で言った。 「……ん、今なん時?」 「8時過ぎ…」 「俺、ずっと寝て…?」 「いや、抑制剤飲んだりした… 覚えてない?」 覚えてるような覚えてないような…。 「さすがにお互い、ぶっ壊れそうだったから バックから薬探して、飲ませたの 手渡したら、和真自分で飲んでたよ」 蓮がフッと、思いだし笑いをする。 一緒に笑いたいけどまだそんな元気が出ない。 本当に体が重くて…。 「今日も泊まってくだろ?」 「…うん…平気?」 蓮が土日両方空いてる訳ないと思いながら聞いた。 「平気だよ」 蓮は笑って俺の頭をなでて、部屋を出ていった。 薬を飲んだせいか、体の火照りはすっかりひいて 筋肉も緩んでいる。 数時間前は自分の中に嵐が吹き荒れている みたいだった。 発情期ってヤバイな…信頼できる人となら 問題なくても、あのまま行きずりの相手と 肌を重ねていたら、どうなったんだろうと思うと 自分の浅はかな行動が怖くなる。 蓮がペットボトルの水を持って戻りベッドの縁に 座った。 はい、と水を渡されて、ありがと、と受け取り 重い体を起こした。 着た覚えはないけど、下着とシャツだけ羽織っていた。 「体、へいき?」 「ダルい」 「だろうね。俺も久々に出しきった感…」 蓮がクスクス笑った。 「……なんかアソコの感覚無いもん」 蓮は爆笑してベッドに倒れた。 「和真が意識飛ばしてもやってたからね いや~ぶっ壊れてたわ~」 「ちょっと…怖いんですけど…」 「いや、和真もさ 朦朧としながら何度も腰、擦り付けて もっとしてっ!って、ねだってたぜ」 俺は両手で顔を覆って倒れた。 「…ウソだ…」 「嘘じゃないし! 抜かないで!って泣きながらさ」 「…もう…ヤメテ……」 俺は恥ずかしさで消えたい思いだった。

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