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「まあ、可愛かったよ 10代のような興奮をありがとう」 布団の中に隠れた俺を、布団ごと抱きしめて 蓮が言った。 お礼を言われた事に違和感を感じたけど、 すぐに、ああ、もともと蓮の誕生日プレゼントの 変わりだったんだと、思い出した。 ー でも、助けられたのは俺の方だ ボロボロだった気持ちを救い上げてもらった。 なんと言って返したらいいか分からず。 俺は腕を伸ばしてギュッと、 蓮を抱き返した。 「まだ、したいの?」 蓮が笑って聞いてきて、俺も笑った。 「もう無理、一生分やった」 「はは、若いくせに何言ってんだか」 蓮に頭を撫でられるとまた眠くなる。 「…シャワー借りていい?」 「おお、行ってこい」 体が鉛みたいに重い。 腰も痛くて、老人にでもなったみたいだ。 緩慢な動きで体を流して、ふと鏡を見ると 首の付け根や胸、腹、いくつもの紅い痕を 見つけて驚く。 蓮が痕を残すなんて初めてじゃないだろうか。 「だいぶ痕つけたね」 風呂から出て、タオルで頭を拭きながら 蓮に言った。 「気づいた?」 蓮はキッチンでなにやら作りながら笑う。 「ここはダメでしょ、見えるじゃん」 首を指差して苦情を訴える。 「噛みたい欲求をキスマークで 表現してみました」 「怖っ!!」 俺は両手で首を覆った。 「いや誉めろよ!ホント、よく耐えたよ俺! やっぱさ、自分は抑制剤飲んどくべきだったって 思ったよ、危なかった~」 「………信じてるけどさ… 生では入れてないよね……?」 「はは、信じてるんだ?」 蓮が可笑しそうに笑った。 「……どういう意味?」 「俺みたいなの信じちゃうって オマエの壁が低すぎて心配になるわ」 「………」 「いや、もちろん入れてないよ?」 「意地悪い言い方やめてよ…」 俺がうつむくと、蓮がゴメンゴメンと笑う。 「ほら、できたから、食おう」 「…何作ったの?」 アルコールのせいか食欲ないけど…。 「雑炊?おじや?胃に優しそうなヤツ」

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