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16. 3
テーブルに鍋をドンと置いて、蓮が小皿に
取り分けてくれた。
「あんまり食欲ない…」
「まぁまぁ、ちょっとだけ食べとけって
今日まだ1食しか摂ってないし
それ以上痩せたら骨になるぞ
ほら、あーん」
蓮がフッーと覚まし、レンゲを俺の口の前で
かまえる。
俺はそれに従ってパクっと食べた。
「……あ、ウマイ…」
全然食欲がなくて、食べられないと思ったのに
一口食べたら、どんどん進んだ。
「だろ~?」
「めっちゃウマイ!」
「良かった良かった」
「風邪ひいて弱ってるときとかに
作られたら惚れちゃうヤツだ」
蓮は俺を見ずに、惚れるなよ、と言って笑った。
食後は2人でダラダラ、テレビを見て過ごした。
蓮がソファーで横になってうとうとし始めて
俺は見るのを避けてきた携帯を手に取った。
何件ものメッセージと着信が記録されてた。
全て政実からだった。
小さくため息を吐いて、中を開いた。
最初は今日の朝だった。
俺に怒られる筋合いはないということ、
自分からは絶対に謝らない、そっちが謝るべきだと
いうこと。つらつらと書かれていた。
メッセージが既読にならない事でヤキモキしたの
だろう、少し時間をあけて、無視するな、と
怒ったメッセージが続き、夕方になって突然、
無事か?と俺を心配する内容に変わっている。
いつまでも既読にならない事に不安を覚えた
のかもしれない。
(家にいないみたいだけど、生きてるか
死んでるかだけでも、連絡しろ)
最後のメッセージは夜の8時頃だった。
時計を見たら、もうすぐ10時だ。
ー 政実…家まで行ったのか…
相変わらずせっかちだな
俺は思わず苦笑した。
政実はビビりで、見た目はチャラくても
実は真面目で、無茶もしない。
性格も単純で、めんどくさくない。
きっと俺と初めて、こんな派手な喧嘩になって
動揺してる。
こんな状態を放置しておけなかったのだろう。
蓮の様子を窺うと、すっかり眠りに落ちていた。
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