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17. 痛みも楽しみも

碧斗君がいなくなったからといって 俺と蓮の関係が変わる事もなかった。 蓮は常に複数の相手と付き合っていたし それを承知で、俺も蓮と関係をもち続けた。 時々無性に空しくなって、無性に誰かの 体温を感じて眠りたくなる。 そんな気持ちを、蓮はいつも満たしてくれた。 それだけでよかった。 料理や仕事、常識的な事も…蓮は何でも 教えてくれた。 もちろん、普通、人には聞けないような事も…。 アルコールも、薬も大人のオモチャも、蓮は何でも 経験者で、蓮がやらせてくれることなら安全なの だろうと、不安を感じることは少なかった。 その上で本当に危険な行為や遊びは、間違って 沼にはまらないように、キツく教えられた。 「フェラなんてさ、相手を好きだって思いが あってこそ楽しめる行為だろ? まぁ時々、口内犯されるのが好きって変わった ヤツもいるけどさ、そうじゃなければ、基本 苦しい行為じゃん だから多少のテクは持ってた方が自分にも 相手にも得なんだよ」 蓮の持論のもと、俺のフェラはどんどん上達した。 口でいかせられるのが嬉しくて、求められれば 躊躇う事もなくやった。 「誰にでも、こんな簡単にやってやるな 本当にやってやりたいヤツにだけ… ちゃんと見極めて使えよ」 終わると、俺の顎を持ち上げて 唇を指でなぞりながら諭すように言った。 蓮は何か教えるとき、他の男にする時は…と いつも自分以外の、別の誰かとする事を前提に 話しをしてた。 そんな日々の中で、時々ふと思う。 蓮は俺みたいに、何か満たされない物を感じたり それを誰かに求めたりすることはないんだろうか? 俺に会っているときに、少しは何か 足りなかった物を、埋めてあげる事は できているんだろうか? 蓮はいつ会ってもフラットで 碧斗君が以前言っていたように、人間らしい生活から 足を踏み外しそうな危うさなんて、蓮からは 微塵も感じたことがなかったから。

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