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17. 2
そんな事を考えはじめた矢先だった。
年も明けて、休みボケも抜けて
また日常がもどってきた頃、いつものように蓮に
呼ばれて蓮の家で軽く夕食を食べて、
いつものようにセックスをして寝た。
平日に呼ばれるのは珍しいけど、ない事では
なかったから、気にする事もなかった。
いつもどうりだった。
変わった様子もなかった。
「うぅぅ……」
「……?」
深夜、蓮が何度も寝返りをうって、うなされていた。
その声に目が覚めて、俺は心配になって頭だけ上げて
様子を窺った。
呼吸も荒くなって、もがくように寝返りをうつ。
「ああ、ぅっ…」
「れ、れん…?」
あんまりつらそうなので、思わず声をかけた。
蓮は強い力で俺の手首を握った。
「……のりとっ!」
その名前を聞いて一瞬、凍りついた。
聞いてはいけない言葉のような気がして。
でも粒の汗をかいてうなされる姿を
見ていられなくて、体をゆすって起こした。
「れん!れん!」
ようやく静かになって目を開けた。
「大丈夫!? お水持ってくるっ…」
ベッドを出ようとする俺を捕まえて
腕の中に閉じ込められる。
「いい…抱かせて」
俺は言われるまま、漣の腕の中におさまり
しっとり汗ばんだ背中に腕をのばして
そっと抱き返した。
「…怖い夢見た?」
「……うん」
俺はそれ以上聞けなくて、黙って蓮の頭を
撫でた。
「人を殺す夢、見てた…」
思ってもみない事を言われて息を飲んだ。
「…夢でよかったね…」
「………うん」
想像するだけで怖くなった。
蓮に自分の鼓動が伝わってしまいそうなほど。
「………久しぶりにこの夢みたよ
夢の中では、何度も殺した
倫斗を犯して、噛んだやつ」
俺の胸に顔を埋めたまま
蓮が話しはじめた。
軽い調子で。雑談でもするみたいに。
俺は相づちもうてず、ただ聞いてた。
「ちょうど今頃なんだ
倫斗が自殺したの
俺は、アイツが死んだ姿も見てない
葬式も出てない…出れなかったんだ
吐いて…家から出れないどころか
起き上がるのも無理だった 」
「…つらかったね」
「皆そう言ってくれたよ。無理もないって
でも、違うんだ
倫斗が死んだ事はもちろんショックだったけど
それ以上に耐えられない事があった…
誰にも…碧斗にすら言えなかった事…」
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