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「それから半年くらい、廃人みたいな生活を送った
当時働いてた会社もやめてさ
碧斗や友達みんな、俺が倫斗の死にショックを
受けてるんだと思ってたと思う。
でも違う…」
「蓮っ…」
俺は蓮が言いたいことが分かってしまって
聞くのが辛くなった…。
抱きしめた手に力が入って、蓮の汗で湿った
シャツをグッと握った。
「倫斗を自殺に追い込んだのは
レイプした犯人じゃない
きっと…俺だったんだ …
俺への罪悪感が倫斗をっ…」
「蓮…っ」
耐えられなくなって俺が先に泣き出した。
蓮の大きな体を抱いて、声を上げて泣いた。
「オイ、先に泣かれたら俺が泣けないじゃん」
「ゴメンちょ、ちょっと待って
すぐ止めるから…」
蓮が起き上がってサイドテーブルからティッシュ
ボックスを取って俺にくれた。
「ゴメンっ」
「…いいよ、ちょっとトイレ」
笑いながら蓮が部屋を出ていく。
ー え?このタイミングでトイレ?
俺は急いで鼻をかんで、涙を拭いて
蓮の後を追った。
蓮がちょうどトイレから出てきて
トイレの前にいる俺に驚いて、うおっ!と
声を上げた。
「大丈夫!?気分悪いの?」
俺が聞くと蓮は、軽くビビりながら
別に…と応えて部屋に戻り
今度はタバコを持ってベランダへ行こうとする。
「え?ダメ!寒いからここで吸って!」
「部屋が煙たくなるからいいよ」
「ダメダメ!」
俺が蓮の腰にしがみついて止めると
蓮が笑い出した。
「オマエ俺が飛び降りるとでも思ってるの?」
「え!?」
「今さらそんな事しないよ」
「…でも…ダメ!1人になりたくない!」
「それを言うなら1人にしたくない、だろバカ」
「何でもいいからここで吸って!」
「じゃぁもういいよ、吸わない」
蓮が笑いながら窓を閉めた。
「何で自分の家なのに部屋で吸わないの?」
「…できるなら女とΩの側で吸いたくないんだ」
「は?」
「いつか子供産むだろ。身体に良くない」
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