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17. 7
「そ、そうなの…?」
ー 何も期待されてなかった……。
ちょっとショック…かも。
「言葉なんかより、可愛い抱き枕の方が
数倍癒してくれたよ。サンキュ」
ー 俺は抱き枕だったのか…
「…そっか…まぁ蓮が元気になったなら
それでいいや…」
俺は少し気持ちが軽くなって笑った。
「心配してた?かわいいな和真」
「かわいいって言うな!」
ー 確かに真剣に心配してたけど…
蓮を横目で窺うと、少し笑いながら前を見て
ハンドルを握っている。
柔らかな表情からは、昨夜の苦悩は感じられない。
きっと蓮は、こんな風に人知れず、一生消えない
痛みとともに生きていく。
誰がどんな言葉で慰めても、蓮の後悔はずっと
胸の奥で燻り続けるんだろう。
消すことはできないけど…
蓮が俺と居る時に笑っていられるように…
抱き枕だって、猫だってなってやれる。
蓮の心配症が倫斗君がレイプされたトラウマから
くるものなら…
あの時も、あの時も…
俺に何かあったらきっと、全然関係ないくせに
蓮は自分を責めたんだろう。
ー 何もなくて良かった
蓮につまらない傷を増やさなくて。
発情期に家に囲いたがったのも
ナンパされるのを嫌ったりしてたのも
今思えば全部納得がいく。
俺と倫斗君が重なって見えて、怖かったんだ。
あんなバカな真似もうしない。
理由はどうあれ、俺を大切に思ってくれてる
蓮の為に。俺もちゃんと自分を大事にしよう。
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