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「蓮、恐いよ…」 半泣きになって呟くと、ようやく蓮の力が抜けて 口が離れる。 息が届く距離で、酔ったように充血した目で 見つめられた。 噛まれた首筋がジンジン脈打つように痛む。 「…今…本気で噛んだ…?」 「…うん」 「なんで…?」 「跡…つけたくて…」 震えが止まらない。 恐くて、恐くて 血の気が引く思いなのに 不思議なほど高揚して回した腕がほどけない。 「そんなに怖かった?ゴメン もうしない…」 「…ぜったい?」 「うん、ゴメン悪かった」 蓮は頬にキスして、俺を抱きおこすと 1人、キッチンへ向かって棚から薬を取り出した。 呆然と見つめる俺を無視して薬を飲む。 「…なに?」 「抑制剤…速効性のあるやつ」 「………」 「ほら、もう平気だからベッド行こう」 蓮が俺の手を握って引っ張り、立ち上がらせる。 ドキドキが止まらない。 ベッドに行くのが怖い。 「ふふ、震えてる」 「…笑い事じゃないって…」 「ゴメン、ゴメン。 でも、煽ってきたのそっちだから 和真もちょっと責任あるよ」 「………」 「α 煽る時は気を付けなさい」 俺はゴクリと生つばを飲み込んだ。 あのまま挿れられてたら、番にされてた。 蓮と番に…。 「……蓮なら」 ー …蓮なら平気かも… 「…なに?」 「蓮となら…そうなっても…」 唐突に顎を掴まれて、噛みつくようにキスをされる。 叩きつけるように壁に押し付けられ、突っ込まれた 舌が口内で暴れて、飲みきれなかった唾液が喉を つたった。 「ー ー っぅう!」 苦しくなって顔を背けると、蓮が更に強く顎を握る。 「ガキ」 呆れたように笑って蓮が、頬を叩いた。 「痛っ」 「軽々しくそんな事言うな」 ベッドに突き飛ばされて、俺は仰向けに倒れた。 その一瞬の冷たい目に心臓がズキッと痛む。 ー まずい!なんて事言っちゃったんだ 勢いで言っていいことじゃなかった。 蓮のナーバスな部分に触れるような事… 注意してたのに、なんで…! 深い後悔から思わず顔を両手で覆う。 「………ごめんっ」 何に謝ってるのか分からないまま とにかく謝った。 静かに蓮が近づく気配を感じて、顔を隠してた 俺の腕をそっと掴んで、顔を覗かれる。

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