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18. 9
「そっちが来いよ!」
「ふはは、そっか…そうだな…」
半分は冗談だけど、半分は本気だ。
転勤なんてした事のない俺には分からないけど
見知らぬ土地で、知り合いの1人もいない場所で
新しい生活を始めるのは。
どんな人にとっても少なからずストレスに
なるはずだ。
蓮は要領もいいし、人と付き合うのも上手いから
きっと問題ないだろうけど、俺はあの夜の蓮も
知ってる…。
蓮が俺を心配してるように、俺も蓮のことが
心配だった。
「じゃぁさ…」
蓮がちらっと俺を見る。
「ん?」
「金もかかるし…いっそのこと
一緒に住む?」
「………は?」
聞き間違いかと思って聞き返す。
「名古屋についてくる?」
ポカンと口を開けて蓮を見た。
蓮はニッコリ笑って俺を見てる。
ー え? 冗談?
「……4月からやっと正社員になれるのに?
それを捨てて?」
「……ははは、だよな!」
ー あ、やっぱり冗談か。
蓮が、なんか食い物持ってくる、とベッドを
降りた。
部屋を出ていく蓮を思わず呼び止めた。
「俺が…もし…!」
「ん?」
「俺がもし、ついて行くって言ったらさ
蓮は俺の物になってくれんの?」
「…え?」
「今みたいじゃない。俺だけの恋人に
なってくれるの?」
「…………」
蓮の目が俺から反らされて、泳いだ。
「……はい、ブブ~~~!」
「え!?」
「そこはさ、即答してくれないようなヤツに
ついて行けるわけないじゃん!
結果的に破ることになってもさ!」
蓮がキョトンとして俺を見て、
そしてフッと笑った。
「…そうだよな…」
そう言って部屋を出ていく。
ー 心臓が飛び出しそうだ
お前だけのものになる、と言ってくれなくて
ガッカリしたのか。
そう言われなくて良かった、とホッとしたのか
自分でもよく分からない。
そしてツマミや飲み物を抱えて戻ってきた蓮が
俺に言ったんだ。
「和真はどうなの?
俺がお前だけの物になるって言ったらさ
ずっと好きだったアイツを綺麗さっぱり
忘れられるの?」
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