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18.10
今度は俺の方が黙りこんだ。
「言っとくけど、俺はそういう関係になったら
“友達”なんて存在認めないからな。
体の関係がなければいいなんて思わない。
二人キリで会うなんて許さないし、他の誰とも
複数人だろうと泊まりも無理」
ー 政実と…ずっと会わずに…?
「………はい!ブブ~~!」
「…え!?」
「そっちこそ…
即答できないくせに!」
「………」
「まぁ、そういうことだな…」
蓮は笑って俺の頭をポンポン撫でた。
もしかしたら蓮も俺と同じ気持ちだったのかも。
俺ができると言わないことを淋しく思っても
そう言わなかった事をどこかでホッとしてる。
俺が落ち込むように黙りこんだら、蓮が俺の頭を
片手で抱えるようにして口づけた。
「…じゃ…休憩おしまい
今日は朝までヤるんだろ?」
「そんな事言ってない」
「あれ? そうだった?」
とぼけたような蓮の声に、2人でクスクス笑った。
「大丈夫だよ。何も変わらない。
ちょっと遠くに行くだけだ…」
俺の身体にキスを落とすリップ音と
蓮の声が暗い寝室にとけて消えていく。
「……うん…」
蓮の大きな手のひらが、俺の肌を滑ってなぞる。
それから俺達は本当に朝まで繋がりあった。
飽きもせず。
もう出るものもないくせに。
でも、もう先の話しはしなかった。
いつものように蓮が俺を車で家まで送って
キスもしないで車を降りる。
「じゃあ、またね」
「おう、何かあったら連絡しろよ」
いつものセリフで別れた。
どうせすぐ会えるだろう。
1,2ヶ月もすればどちらかが訪ねて行って
その時はきっとまた朝まで、腰が立たなくなるほど
ヤるんだ。
そんな風に思ってた。きっと蓮も。
だから別れるとき、サヨナラもありがとうも
なかった。
涙もなかった。
これは後から思えば、だけど…。
俺たちが2人きりで会ったのは
この時が最後だった。
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