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ちょっとだけやから、ええよな?

  『明日、ユーのハピバはみんなトゥギャザーしてパアッとセレブレーションしたるからな』 金歯を光らせて言ったマニを思い出す。  「誕生日おめでとうやわ」 「誕生日おめでとうでしゅ」 その言葉通り、朝起きてすぐに現れた。 「へいたん! 今日はご飯まだやろ? 俺がとっておきのやつ作ったるわ」 ニッと白い歯を見せて笑うカイリ。 「ぼくちんもきまちたでしゅ」 なぜか鼻息が荒いモト。 「ちょ、きしょいから近くに来んな」 「はいぃっ! しゅいましぇんでしゅ!!」 合わない2人で大丈夫かなと思いながら2人を入れて、背を向けた……けど。 「……ツクもいるんでしょ?」 嘲るように笑ってドアの方を見ると、頬を膨らませたツクがドアの影から出てきた。 「なんでわかったのぉ?」 悔しそうに言うツク。 「なんとなく。カイリとモトじゃネコ側しかいないし……2人の共通する人って言ったらさ?」 当たっていたみたいでツクはぶうっと拗ねた。 「まぁでも……鋭いんだぁね♪」 ツクはいつも通り悪い顔をしてくれた。 「誕生日おめでとうなぁ……素敵な日するから、覚悟してなぁ」   なぜか3人の頭かな耳が付いているのに気がつく。 黒く半楕円形の耳のカイリは犬 茶色く大きい垂れ耳のモトも犬 黄色く長い耳のツクはうさぎ? 「あっ、気づいたへいちゃん?」 嬉しそうにふふふっと笑うツク。 「カラカラはコーギー、ミツはゴールデンレトリーバーで、あはラルリちゃん!」 へいちゃんのは自信作だよぉとふんって鼻を鳴らしていた。 「みんなの分を1からやって、2日間徹夜して作ったぁ」 ニコニコしながらツクは教えてくれた。 「ラルリちゃんの著作権、大丈夫?」 心配して言ったのに、キョトンとした顔をするツク。 意味がわかったのか、ハッハッと棒読みでツクは笑った。 「ラルリちゃんを考えたの、あだから」 驚く僕を見て、カッコいいウインクを決めたツクだった。  "Tried to give you consolation.Your old man let you down" 今はカイリが洋楽を歌いながらキッチンで朝ごはんを作ってくれていて 「あっ、これもにあっちゃうんだぁね♪」 「カッコいいでしゅ」 ツクが僕を着せ替えして、それをモトが褒めると言うなんとも幸せな光景が広がっている。 「やっぱりさぁ、あのチェック生かしたいよねぇ」 パンパンに入った衣装ケースの中身をぶちまけて、次々と服を着せてくれるツク。 「なんでも似合いましゅから、迷っちゃいまちゅね」 んふふとモトは可愛く笑う。 でも、今のところ決まっているのは黒のガウチョパンツだけなんだもん。 「もう、いつもの白Tシャツでいいから」 「それはダメだよぉ」 「しょれはダメでしゅ」 ぴったり揃えて言うツクとモトにはいって大人しく返事しかなかった。   「あっ、この白Tにならいいかも!」 閃いたように目を輝かせたツクはぐちゃぐちゃになっている服の山から袋に入った白Tシャツを取り、広げる。 右回りに赤、オレンジ、黄色、緑、水色、藍色、小豆色の7つの手が輪になったイラストが真ん中にドーンと描かれていた。 「開店の宣伝用に作ってたのの残りだけど、あげるぅね!!」 人懐っこい笑顔を浮かべて、両手いっぱい伸ばして渡してくるのを断れる人はいるだろうか。  ありがとうと言って着てみると、サイズがぴったりだった。 「色男だぁね」 嬉しそうに笑うツクに僕はこそっと聞いてみる。 「サイズぴったりなのは偶然?」 ツクは鋭いねぇと低い声で言って、クスッと笑った。 「抱いただけでわかるんだよ」 囁いたツクの声はかなりのイケボだった。  チェックの長袖シャツを羽織って前開きにした僕。 「おみみは……ぼくちんにちゅけしゃせてくだちゃい」 潤んだ瞳で言うから、いいよと許可すると、モトは口元のほくろを見せるように笑う。 「失礼いたしましゅ」 手を震わせながら耳付きの帽子を被せてくれた。 「豆柴だぁね」 ツクは可愛く笑う。 「ぼくちんと柄谷と一緒でしゅね」 モトは満足そうに口角を上げた。

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