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ツクの過去

 「アッ、アアッ……ン」 イッたばかりだから、気持ち良さから声が漏れる。 「き、気持ち、いい……よ」 とりあえず言えば終わると思って言ったのに、今度はさっきより深く突っ込まれた。 「アアッ、なぁん……で」 感じたことのない強さの刺激に目がチカチカする。 「あはねぇ、大学で心理学を専攻してたんだぁ。だから、薄っぺらいウソなんてすぐわかっちゃうの」 アハッと嘲笑うように言ったツクはまた浅いところを何度も擦る。 「ア、アッ、ンア……ハッ」 もどかしくて腰を揺らすと、また深いところへ貫かれるから、大きく喘ぐ。 「7……やっぱり深いところが好きなんだぁね。でも、浅いところもクセになるようにしつけちゃお♪」 ツクは楽しそうに言って今度は入り口を撫でるように何度も擦る。 なぜか身体がビクビクと震えた。 「あ! ここ……2も好きなんだぁね。ツボ、はっけん!!」 アハハッと笑うツクは小悪魔だって思ったんだ。  ツクは棒の出し入れを続けながら、別の手で僕のちんちんの先を軽く摘まみ始めた。 「若いからプリプリしてるんだぁね……ムカつく」 優しく摘まんでいたくせに、今度はデコピンで撥ね飛ばす。 「アッ、いたッイ……んアッ、ン」 痛いけど気持ち良くて、なんだか変なんだ。 「甘いよりも痛いほうがいい、とか思ってたりして」 ツクはな~ぁ~と独特な呼び掛けをして、僕のちんちんの裏の筋を撫でる。 「そんな、こと……ないよ」 僕は図星なのを隠すように、なるべく棒読みで言う。 「ほんとぉ?」 ふんわりと言ったのに、僕のちんちんを握り潰すツク。 「ンアアアアッ!」 吐き出した感じがして頭がふわふわしている。 「2回目はドライかぁ。面白いなぁ、へいちゃん」 ツクはクククッと笑った。 その笑い方はエッちゃんと同じだった。    「エビちゃん、とんでもない変態を見つけて機ちゃったんだぁね」 ツクは棒に小さく振動するように固定し、力が抜けた僕の頭を膝に乗せる。 エビちゃん……エッちゃんよりも親しい呼び方をしているから、僕は察してしまった。 「もしかして……エッちゃんさんと恋人だったの?」 ツクは鼻で笑い、鋭いねぇと低い声で言った。 「まぁ、そう思っていたのは……あだけかもしれないけどね」 ツクは震えた左手で僕の左乳首を強く摘まんだ。 「両利きなのは、あの人にそうしつけられたから……どっち側にいても尽くせるようにって」 アホだよねと笑うけど、声が揺れていたから泣いているんだとわかった。 「あの人になんて言って誘われた?」 ふにふにと上下左右に触れられ、チクチクと感じる僕。 「俺に、そっくり……って」 やっぱりなぁと言ったツクはペロリと摘まんでいた左乳首を舐める。 「それなぁ、あの人の常套句……それであも騙されたんだ」 ぬるぬるになった乳首を今度はつねる。 「なにもない人だったから、僕は音楽を教えた。そしたら、才能が開花したんだ。だからあの人は愛をくれた……たくさん、すごくたくさん」 だんだん力が強くなってきて痛いのに、すんごく気持ち良いんだ。 「でも、あの人は突然消えた」 ツクは急に乳首から手を離す。 「心を奪ったくせに、ボロボロにして捨てやがった」 僕の頬にピチョンと雫が落ちてきた。 「あの人しか、あの人の身体でしか気持ち良くならなくなっていたのに」 ああ、ツクもそういう時があったんだ。 夢中になったら捨てられる。 無残に。 それが怖いから、近づかないんだ。  「僕も捨てられる……?」 いつかはそうなるってわかっているのに、聞いてしまった。 「だいじょうぶ、あが拾って飼ってあげるから」 さっきより明るい声で言うから、恐る恐るツクの顔を見る。 かわいい子犬を見るような目を僕に向けて、右手の平で僕の髪を撫でる。 「その時までに水色の首輪買っておくよ」 穏やかに言うから安心して僕は微笑む。 でも、ツクは口を歪めたんだ。 「アアアアッ!」 急に来た強い振動で僕の身体は大きく跳ね、思わず叫ぶ。 「これで3回目……快楽の地獄は終わらないよぉ」 ふふっと笑うツクはやっぱり悪魔だった。

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