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はむはむ
「まずは……おりぇの唇、はむはむしてみて?」
唇をはむはむってさっきキヨがしたやつ、だよな……てことは。
「あ、あの……キヨ、その、えっと……それはつまりさ、キヨの唇を噛むってことだよね」
しどろもどろになっていると、おんと当たり前のように返事をするキヨ。
「おりぇ、唇が人より厚いから噛んでもええよ……もう腫れてんのと一緒やし」
大丈夫やから、な?と穏やかな表情で言われたら、なんとなくやろうと言う気になってくるのは単純過ぎるだろうか。
「じゃあ……いくよ」
一応宣言してから、まずは上唇を食んでみる。
恐る恐る甘く噛むように。
「ハァ、ハァ……ハァ」
顎にかかる息は食むタイミングに合ってて、温かい。
下唇にいく前に普通にキスをすると、ふっと言う声が漏れた。
下唇を食んでいくと、上唇に比べてかなり厚いからたらこを食べてるみたいな感覚に陥り、思わず食むスピードが速くなる。
「ハッハッ……ハアッ、ハッ……ハァッ、ハ」
そのためか、キヨの吐く間隔も早まって、変な気持ちになってきた。
「ハアッ……ハッ!」
最後にありがとうの気持ちを込めて下唇を舌で舐めたら、1番大きい熱い息がかかった。
「ごめん、下手くそだったで……キヨ?」
顔を見ると、キヨの目は焦点がぼやけたような感じになっていた。
「熱でもあ……「めっちゃええわ……ヤバイな」」
その言葉と表情を理解するのに5秒かかった。
「気持ち良かったってこと……?」
「それ以外何があんねんな……もっと気持ちよくさしてぇや」
ふにゃふにゃに笑うキヨを見て、僕の中の男の部分が疼き始める。
玄関でしたのとは違い、黒い前髪を上げて、おでこに唇を当てる。
チュッ
鼻
チュッ、チュッ
左頬と右頬
チュッ
顎と次々としていきながら、黄色のYシャツのボタンを手探りで外していく。
Yシャツを脱がそうとしたら、ちょい待ってとキヨから止められた。
「やっぱり、イヤになったよね……ごめん」
自信が無くなってうつむくと、右手で両頬を一挙に掴まれて上げられる。
「そういうところがアカン言うてんの……ちゃんとおりぇのこと、わかろうとしてや」
目は鋭いものの、頬を含めて首まで真っ赤に染めていたキヨ。
「着たまましようや……不自由の方がもえるやん」
萌えるのか、燃えるのかはわからないけど、なんとなく自分の中のスイッチがまた入った気がした。
「わかった」
僕は抱き寄せて右の耳たぶを舐めると、キヨはふうっと息を吐いて力を抜いてくれた。
「キヨは日焼けする?」
「せえ、へん」
「陽に当たったらどうなる?」
「赤く……なって、いた、アッい」
赤い耳たぶを舐めたり、白い首筋に噛み付いたりしながら藍色のインナーの上から胸を揉んで会話をする。
昨日のツクみたいにしてみたけど……うん、もえる。
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