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独占欲

 「ゆっくりでええからやってみような」 優しい笑顔を向けて、僕の頭を子どものように撫でるカイリ。 僕は恥ずかしさで下唇を噛んで、なるべく優しく右手で皮を根元に寄せて、輪を亀頭に掛ける。 そして破けないように根元へと被せていき、皮をコンドームへと入れるのに苦労しながらやると、ホッと息を吐いた。 「0.02ミリ違うだけだけど、触ったら感じ方がだいぶ違うぞ?」 カイリが自信満々に言うから、ビクビクしながら交互に触ってみる。 カイリの方は厚いのに気持ち良さそうだった。 でも、自分のを触ったら……今にも出そうになったから思わず根元を握った。 「ははっ、へいたんも0.04がいいかもな」 カイリは楽しそうに手のひらにローションを垂らして僕のちんちんに塗りつけてくるから、その液体そのものの温かさとカイリの温もりと僕自身の熱が合わさってもうイキそうだった。 はちみつでも食べられるものでもなく、ホットだなんてどうでもいい。 「一緒にいこう言うてるやん、もうへいたん〜」 駄々をこねるように言いつつ、次は僕の左手にホットローションを垂らして、カイリ自身のものへと引っ張るカイリ。 僕は気を持ち直して、それに塗りたくると、カイリは上を向いて大きく息を吐いた。 「じゃあこすり合いしよっか? もう俺……」 ガマン出来へんって吐息混じりに言うから、僕もって言って笑い合う。 僕らは初めて全部脱ぎ、向かい合って座る。 カイリがちょっと腰を上げて僕が下になるような体勢になり、ちんちんをぶつけ合う。 パチンパチンと音は痛そうだけど、すごい気持ち良くて……いつの間にか僕は寝転がり、カイリは覆い被さるような体位に変わっていた。 イメージはカイリのお尻の穴を僕のちんちんが突き上げていじめている、らしい。 「へいたん、気持ちいい?」 「気持ちいいよ」 恥ずかしかったけど、きちんと言葉にしたらカイリは変わらずに頭を撫でてくれた。 「カイリは……?」 不安になって僕からも黒いツヤツヤの髪を梳きながら聞いてみる。 「めっちゃ気持ちええよ、へいたん」 カイリは今日一番愛らしい笑顔を見せてから、僕の唇に噛み付いてきた。 最初より求め合うキスでより絡みつきながら、身体も絡みつくように抱き合う。 「奥まで、突いて!」 ピチャピチャと水音が響く中、カイリは叫ぶ。 「カイリを、おかし、くしちゃ、うよ」 僕も言ったことがない言葉を放つ。 「へいた……んやから、ええから!!」 ああ、敵わないな。  その後すぐもう、イくって思った。 離れようとしたら、カイリも抱きつく力を強めて震えて……ああ、一緒だなと安心して僕も強く抱きしめた。 2分間ぐらい黙ってお互いの温もりで一つに溶け合った。 「……離れたない」 突然カイリは首筋に顔を埋めて、強く吸い付いた。 「痛っ、どうしたの? カイリ」 分からなくて聞いた後に頬が冷たいのに気づく僕。 顔を上げたカイリの右目から一筋の線が伝っていたから、涙だとやっと理解する。 「ううん……やっぱ独り占めはダメだよなって思ってちょっと悲しくなっただけだから」 なんて切なげに笑って僕の髪に触れるカイリ。 「めっちゃかっこいいよ、へいたん……次切るときも俺がやるから覚えとけよ」 笑う顔がどこか儚げだったんだ。  「カヤかぁ、はよ」 美容院を出て家庭料理屋さんに来ても気になっていた。 ここは『かあちゃん食堂』というカイリの通うご飯屋さん。 カヤかあちゃんという女将さんが作ってくれるんだ。 「そんなにせぐでね。にっころがし黙ってけぇで」 頼んでいる焼きうどん作りながら、田舎訛りで返してくれるから温かい。 つきだしに里芋煮を出してくれたから、ひとまずの腹ごしらえは出来ているんだけど。 「めんこい子連れてきたから、チョロギ出してや」 「おめがはずめてなかめ連れてきたからのぅ……あすた雨ふるな」 「ちょ、そんなことを言わんでぇよ」 弄られているけど、楽しそうにしているから僕も笑う。 あの涙は気のせい……?  「めちゃくちゃ美味かったな」 家に帰って、シャワーを浴びたら首筋に赤い痕があるのに気づいた。 「虫刺されみたい……カイリは前世、吸血鬼だったのかな」 やっぱり意味がわからなかった5日目の僕でした。

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