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やっぱり変態

 「俺、この仕事大嫌いやったんよ」 サガは両目、鼻、両頬とキスを落としていく。 「アロマの店も順調やし、もう関くんと付き合っていたから。お金のためと割り切ってやってた」 口をスルーして喉仏にキスをするサガ。 「そんな時に月に1万しか払わん客を入れるって、頭おかしいと思ったよ」 ジュッ 心臓の場所になぜか吸い付かれた。 「イッ……アあっ」 僕は痛気持ちよくて喘ぐ。 「来た人はただの平凡やったから……俺に夢中にさせて、金をむしりとってやろうと思ったのに」 ペロッ へそを舐め始めたサガ。 「人見知りで」 ペロッ 「人間不信で」 ペロッ 「自己肯定感低めで」 ペロッ 「まるで」 チュッ 「付き合う前の関くんだったから」 ググッ 「俺が夢中にさせられたんだ」 へその愛撫に気を取られてお尻の穴に指が入ってるなんて思いもしなかったから。 「アアッ……アッ、アッ」 喘いでいる間にも、肉壁を擦って侵入してくる。  「最初の時とは比べものにならないくらい柔らかいね……挿入は初めてちゃうやんな?」 ツウーッと舌を滑らせて、胸まで上がってきたサガは右乳首に噛みついた。 ズチャッ 完全に指が入ったのか、前立腺を刺激される。 「んアッ……アアッ……アッ」 気持ち良さでいつの間にか腰を揺らしていた。 「よし、準備おっけぇー♪」 勢いよく指を抜いたサガはコンドームの袋を歯で咬みきり、あっという間にちんちんへ装着した。 「ああ、こんなに清々しい気持ちでセックス出来たのは初めてだよ」 でもね、と急に顔を近づけてきたサガ。 「本当はあの日に繋がりたかったんよ」 目の前でニッと笑われたら、僕の身体がズクンッと疼いた。 「『繋がるまでがサービス』なんでしょ……はやく犯して?」 かわいく言えたかわからないけど、コクンと首を傾げる僕。 「仰せのままに」 クスッと笑ったサガは身体を起こし、僕に身体を押し付けた。  グググッ 肉壁を貫き、あっという間に奥で繋がる僕とサガ。 たかが、1週間。 されど、1週間。 性体験ゼロの僕がこんなになるなんて思いもしなかったな。 ヌチャ 「気持ちいい?」 グチュ 「気持ち、イい……よ」 ズリュリュ 「俺も」 グチュリ 「もっと、気持ちよくして?」 静かな律動の中、快楽を共有し合う僕とサガ。 写真を撮られても 動画を撮られても 視姦されてもいいから。 グチュ……ズブッ……ジュパッ……ジュポ だんだん早くなる律動と共に水音も生々しくなってきた。 「サガ、好きだよ」 みんな好きだけど、でも。 「当たり前だよ……浮気ぐらいは許したるけど」 綺麗に口角を上げて、僕の唇を塞ぐ。 クチュ……クチュ 激しいキスなのに、やっぱり優しくて。 ずっとこのままでいたくなる。 僕の荒くなった息を見かねて離れようとするサガ。 でも、僕はサガの後頭部を両手で押し付ける。  数分後、やむなく離れた僕は泣きそうになる。 「僕、イきたくない」 サガは目を見開く。 「だって、イッたら……終わっちゃうでしょ」 長いと思っていたはずが今日で終わる。 明日からまた平凡な日々になるなんてイヤなんだ。 「時間が止まってしまえばいいのに」 僕の瞳からほろりと涙が溢れる。 「大丈夫だよ、平太」 サガの白くて長い指が僕の涙を掬い上げてくれた。 「僕ら『おいで屋』はずっとそばにおるよ」 ね?と言った先から6通りの声が聞こえた。 「もちろんでございましゅ」 「当たり前だぁね」 「おりぇも」 「まぁな」 「グレイトや」 「あったり前田のクラッカーやわ」 本当に個性のある人たちだな。 「じゃあ、いこっか? 快楽の世界へ……大丈夫、ちょっと気持ちよ~くなるだけやから」 いつもの甘い言葉を言って律動を再開したサガ。 休んでいたはずなのに、気持ちよさは倍々になっていた。 「アッ……アッ……アアッ!」 パチュパチュ 音が変わったことでもうすぐだとわかった。 吐き出す瞬間、喘ぎ声を唇に吸いとられた。 ジュル 唾液が流し込まれたのを最後にふっと意識を失った。

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