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episode 7
「…要?……っ!?」
はっ、はっ、と吐き出す息はまるで熱の塊のようで、視界がぐるぐると回る。
苦しい、この熱を早く吐き出してしまいたい。
体内の水分が全部蒸発してしまいそうだった。
「…な、に…これ……」
「……っ、お前…これって」
名倉は後ずさるように距離をとった。
気づけば俺は無意識に、何も考えられない頭で這うようにして凌に近づいていた。
「……りょう、りょう」
発情期 だった。
Ωにとって初めての発情期 は酷く、一人では耐えられないものだ。
だから自然と誰かの熱を求めてしまう。
「っ、駄目だ…要、…俺は…」
「……たすけて、」
力の入らない手で名倉の足を掴む。
早く、どうにかしてほしい。
名倉に。
名倉が欲しい。
冷静さを失った頭の中にはそれしかなくて。
「……りょうがほしい、」
「、」
ガタン、と音がして背中が痛む。
硬い床に押し倒された衝撃に顔が歪むが、そのお陰が少しだけ理性を取り戻した。
何が起きている、理解するのには時間がかかった。
項にかかった髪を荒くかきあげられて、ぬる、と舌が這う感覚がする。
熱を帯びた荒い息が耳かかる。
「……ひぃ、いやだっ!」
前に一度経験した、あの感覚を思い出した。
ゾワリと背筋に寒気が走るようなあの嫌な感覚。
けれど、気持ちはそうでも体は無意識に犯されることを求めていた。
目の前にいるのはこの前の気色の悪い男ではなくて、友達だと言ってくれた大好きな名倉。
「やっ、怖い…!」
噛んで、噛んでほしい。
そこを今噛まれたら"番"になってしまうのに。
誰でもいいから、噛んでほしい。
「…っ、ごめん…ごめん、要」
ギリギリ、と歯が擦れ合うような酷く嫌な音がして、苦しそうに俺の名前を呼ぶ声がどこか耳の片隅で聞こえた。
「ひぁっ、…んぅ…そこ、いい…っあ、」
ぐち、と卑猥な水の音も、肌がぶつかり合う音も、興奮して荒くなった名倉の息遣いも聞こえないくらい理性は飛んでいた。
ただどうしようもなく気持ちが良くて、もっと欲しい。
もっと名倉が欲しい。
それだけしか頭の中にはない。
「…もっと、あぁっ!…ふ、やぁあっ」
目の前にチカチカと光が散って意識まで飛びそうになる。
濃いαの、名倉の匂いがして、クラクラする。
自慰などした事がない逢沢にとっては、初めて経験した絶頂はそれだけで目の前が真っ白になった。
「〜〜〜っ!?、ひ、…あぁあぁぁっ!」
もう何度目かわからない絶頂を迎えた時には、ふ、と意識を手放していた。
「……かなめ、……要…?」
肩を揺すって名前を呼ぶが、返事がない。
やっと冷静さを取り戻した頭はやけに焦りを覚えて何度も必死に名前を呼んだが、気を失っているだけだと理解すると一気に安堵する。
同時に罪悪感と失望感が一気に押し寄せてきて、後悔はしてもしきれなかった。
「……っ、ごめん、ごめん…」
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