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第二章・5
「しかし、気が変わったよ。まさか君が、あのカフェのバイトくんだったなんてね」
風俗に売ることはやめた、と徹は微笑んだ。
「その代わり、私に尽くしてもらうことにした。日給5万円でどうだ?」
「ご、5万!?」
「ソープの売れっ子なら、一日でそれくらい稼ぐさ。ただ……」
ただ?
「君が私を受け入れることが出来たら、の話だ」
そう言うと、徹は立ち上がった。
スーツを脱ぎ、ネクタイを解き、シャツをはだけた。
そして、背中を向けた。
「……!?」
樹里は、声を失った。
滑らかな広い徹の背には、いっぱいに極彩色の昇り竜が彫り込まれていたのだ。
タトゥーなどと、可愛らしい代物ではない。
それだけで人を威圧する、極道の証だった。
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