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第二章・6
「今は時代が変わった。先代は暴力団の看板を下ろし、不動産と金融業の会社を設立させ、私はそこの二代目だ」
しかし、先々代からのヤクザの看板を下ろしたつもりはない、と徹は言う。
「君に、この彫り物が触れるか? 樹里くん」
「……」
恐々と、樹里は身を乗り出した。
美しい。
体中に施された入れ墨は、樹里にとっては畏怖の対象ではなく美術品だった。
溜息をつき、指先で竜の輪郭をたどる。
徹はそれに満足したように、樹里の頭に手を乗せた。
「契約成立だ」
徹は衣服を整えると、再びソファに掛けた。
「私に尽くしてもらう、とさっき言ったが、できるね?」
「はい」
では、と探るような眼を徹は樹里に向けて来た。
「客は、私一人。樹里くんには、私だけの売れっ子になってもらおう」
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