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第二章・7

 嫌がって泣き出すかもしれない、と徹は考えていた。  しかし樹里は、泣きもせず笑いもしなかった。  ただ黙ってソファの徹に近づき、床に膝をついた。 「樹里くん?」 「ご満足いただけるかどうか、解りませんが」  樹里は静かにベルトに手を掛け、外した。  そして、ゆっくりトラウザーズのファスナーを下した。  そっと徹のペニスを両手に包み、舐め始めた。 「ほう」  優しい顔立ちをしていながら、意外に豪胆だ、と徹は感心した。  丁寧に、大切に舌を躍らせる樹里。  テクニックとしてはまだまだだが、心がこもっている。 (私に、幻滅せずにいてくれているらしいな)  行きつけのカフェのバイトくんが、自分に好意を抱いていることには気づいていた。  そしてそれは、徹も同じだった。  この可愛い子を、いずれ我が物にできれば、と考えていた。  だが、堅気の少年に手を付けることにためらいがあったのだ。

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