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第三章 お風呂での初プレイ

 夕食は、お祝いと称して樹里は寿司を食べに連れて行ってもらった。  チェーン店ではない、本格的な寿司屋だ。 「何でも好きなものを頼むといい」  徹の声は優しかったが、樹里は困惑していた。 「えっと。じゃあ、タマゴを……」  それを徹は愉快そうに笑うと、カウンター向こうの大将にオーダーした。 「タマゴを。それから後は、お任せで頼む」 「すみません……」  こんなお店、慣れてないので、と樹里はひたすら恐縮した。 「いいさ。これから、いろんな店に連れて行ってあげよう」  そこで、タマゴが目の前に出されてきた。  見ると、徹もタマゴを手にして微笑んでいる。 「樹里くんの寿司デビューに乾杯」 「ありがとうございます」  タマゴで乾杯する二人を、大将は微笑ましく見ていた。  鉄血の若社長を笑わせるとは、なかなか有望な新入りだ。  また、ただの玩具で終わらないことを、密かに願っていた。

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