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第三章・3
「えっと、シャツや下着は洗濯してもいいんだよね?」
自問自答しながらランドリーにシャツを入れていると、バスから声が聞こえて来た。
「何をしているんだ? 早く君も入ってきなさい」
「は、はい!」
とはいうものの、どうしたらいいんだろう。
「背中を流せ、っていうことだよね。きっと」
シャツの袖とジーンズの裾をまくり上げ、樹里は温かな浴室へ足を踏み入れた。
「樹里くんは、服を着たまま風呂に入るのか?」
呆れたような、徹の声。
は、とそこで樹里は、昼間の言葉を思い出した。
『ソープの売れっ子なら、一日でそれくらい稼ぐさ』
お、お風呂エッチしなきゃならないんだ!
もう一度脱衣所へ戻り、樹里は服を脱いだ。
素裸になって徹の元へ出ると、彼は上から下までその肢体を眺めやった。
「やはり少し痩せているな。もう少し、筋肉を付けた方がいい」
「解りました」
「じゃあ、背中を流してくれ」
「はい」
背にも肩にも太腿までも、極彩色の彫り物が施されている。
痛みに耐えて来た皮膚に、樹里はそっとスポンジを滑らせた。
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