30 / 105

第四章 気持ち悦ぃ……

 行きつけのカフェでお気に入りだった、バイトくん。  まさか、この腕の中に抱く日が来ようとは。  徹は、ベッドに横たわって細かく震えている樹里を見下ろした。  社長室では堂々とフェラチオをやってのけた少年と、とても同一人物とは思えない。 「緊張してる?」 「はい……」  消え入りそうな、小さな声。  その声も出せないように、徹は樹里の唇を塞いだ。 「んっ……」  ぎゅっ、と瞼を閉じている樹里。  強張った肩に手を掛け、徹は優しく舌を絡めた。 「んぁ。っふ、ぅん」  それだけで、はぁはぁと息を荒げている樹里が可愛い。 「まさか、キスは初めて?」 「ん、ぁ。は、はいっ」  妙なギャップだ、と徹は首を傾げた。  セックスの経験はありそうなのに、キスは初めて、とは?

ともだちにシェアしよう!