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第四章・2
柔らかな髪を素肌に擦りつけながら、徹は樹里の身体にキスを落としていった。
「あ、あぁ。っく、ぅん。ん、はぁ。あぁ……」
敏感な身体に、甘い声。
だがその中には、慣れていない固さがある。
すれていない響きがある。
胸の小さな乳首に舌を這わせると、樹里は悶えて声を上げた。
「あぁ! ん、あぁ、あッ! はぁ、あぁ、んあぁ!」
「おかしいね。ここを弄られるのは、慣れてない?」
「は、初めて、です……ッ」
では、ここは?
徹の指先が、樹里の後ろの柔襞を撫でた。
びくん、と震えて、樹里は声を振り絞った。
「そこは、大丈夫です。よかったら、挿れてくださいッ」
むぅ、と徹は少々複雑な気持ちになった。
「どうやら君の恋人は、キスも前戯もなしに本番をやってた、ってことだな?」
それを薄情だと感じたが、おかげでウブな樹里の身体が楽しめる。
唾棄すべきか、感謝すべきか。
「恋人なんか、いません」
少し強い樹里の声に、徹は我に返った。
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