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第五章 300万円の使い道
「う、ん……」
樹里は、薄く瞼を開けた。
うまく思考が定まらない。
ここは、どこ?
ふかふかの、広いベッド。
見慣れない、高い天井。
「あ……」
そうだ。
僕は、綾瀬さんの家にいるんだ。
綾瀬さんと、一緒に住むことになったんだ。
その綾瀬さんは……。
「いない?」
昨夜は、たっぷり可愛がってもらった。
隣に寝てくれているはずなのに。
樹里は体を起こして、サイドテーブルの時計を見た。
「9時!?」
9時には、社長室に出社しなきゃならないのに!
慌てて起き出しリビングへ行くと、書置きがあった。
表には『樹里へ』とあった。
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