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第五章・2

『おはよう、樹里。よく眠れたかな? 今日は疲れているだろうから、休養しなさい。それから、カードは君名義にしてある。仕度金として300万円使えるようにしてあるので、服など好きなものを買うといい』 「……家に食材は置かないことにしているので、外で食事は済ませること。今夜は遅くなるから、先に眠っているように」  樹里はその手紙を、大切に胸に抱いた。 「ありがとうございます、綾瀬さん」  思えば、昨夜はいつのまにか裸のまま寝入ってしまったはずなのに、ちゃんとパジャマが着せてある。  ぶかぶかなのは、きっと徹のものだからなのだろう。  そして、彼が樹里に着せてくれたに違いない。  思わず、涙がにじんだ。

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