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第六章・8
「あぁ! あぁッ! ヤぁあ、あぁ。んッ、ふ。うぅうんッ!」
徹の律動に併せて、樹里のさえずりが響く。
ぬぷッ、ぐちゅッ、とローションの鳴る音さえ、徹の耳には心地よく聴こえた。
「樹里、奥までたっぷり塗り込んでやるからな!」
「はぁあ! んあぁああ!」
待ち焦がれた徹の種が、樹里の最奥までほとばしった。
射精の圧で、内臓まで震えるようだ。
「あぁあ! 綾、瀬、さぁあんんッ!」
樹里は思わず、その両脚を徹の腰に絡めていた。
しっかりと脚で抱きつき、彼の精子を一つ残らず体内へ取り込んだ。
「ふぅ、あ。はぁ、あ。はッ、はッ、あぁあ」
長い射精を味わうように、声を上げ喘ぎ、震えた。
「喰いついて離れないな。そろそろ解放してくれ」
「あ……、ごめんなさい……」
徹に絡めた脚を解き、樹里はベッドにくたんと身を投げ出した。
その隣に、徹は横になった。
「どうだった。感想は?」
「……凄い、です」
樹里の呼吸が整い、身体の痙攣が治まるところを見計らって、徹は彼に腕枕をしてあげた。
「絵を描くなら、空き部屋をやろう。アトリエにするといい」
「ありがとうございます……」
なぜだか、涙が一粒こぼれた。
嬉しくて、幸せで。
そんな樹里の、涙だった。
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