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第十一章・3
「出すぞ。ピルは飲んでいるな?」
「は、はいッ!」
では、と徹は自らを解放した。
おびただしい量の精が、濁流となって樹里に注がれた。
「んぁ、あ! あ、綾瀬、さんんッ!」
シーツを掴みしめ、背を大きく反らせて樹里は一緒に果てた。
どくどくと吐き出される体液が、二人の間に流れ込む。
温かな樹里の精を噛みしめながら、徹は彼の手をしっかりと握った。
「樹里……」
「んぁ、あ。はぁ、はぁ、あ。あや、せ、さ……」
しばらく抱き合い、余韻に浸った。
痙攣する互いの下半身を擦り付け合い、甘い刺激に身を任せた。
やがて徹はゆったりと動くと、樹里から引き抜いた。
行くなと言うように、内壁が絡みついて来る。
名残惜しかったが、樹里の身体を傷つけないよう、丁寧にペニスを退いた。
「悦かったか?」
「気持ち悦い、です……」
悦かった、ではなく、悦い。
樹里の身体は、まだ快感の渦の中を漂っているのだ。
それは、徹も同じだった。
二人、抱き合って甘美なひとときを味わった。
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