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第8話

   *  ある雨の日、明治がノートパソコンとAVをもってやってきた。  テレビもDVDもなくても二ヶ月が過ごせた。スマホもなきゃないでなんとかなるというと明治は、「枯れてるー」と心配したのだ。  どうせ親の前では見られないからだろう。立て続けにAVをみた。  幼稚園児のようにバカすぎる女が2分足らずで全裸になる。都会の女はスゴイ。明治は感動しながら、横でしごき始めた。妄想を取っ払ってやりたいが、都会の女の品格を守ってやる義理もない。  徳重も座卓を挟んで左手をシコシコ動かす。リンゴの皮むきがうまくなっていた。包丁より、リンゴを持つ手を動かしたほうが皮が切れにくい。明治に見えないように、テーブルより低い位置で、リンゴの皮むき最長に挑んでいた。 「シゲさんの好みはどんなですかね?」  違法DVDを並べながら明治が聞く。…まだ観るのか? 「うーん。こういう簡単にやらせてくれる女より、難攻不落の女を殴りたい」 「殴っちゃだめでしょ。縛ってイカせるとか…」  明治が妄想の扉を開く横で、殴って終わる自分に明治の妄想を重ねてみるが女を犯るところは想像できなかった。 「ん? シゲさん童貞?」 「10代の頃は毎日2~3人とヤってたな、毎日毎日」  あれ? 最後にヤったのいつだっけな?  明治が「毎日2~3人?」と繰り返しながら興奮し、いきなり乱交パーティで始まるものを流し始めた。どうみても素人、たいして体型のよくない女がしなを作ると吐き気がする。トイレットペーパーを引き寄せて興奮している明治の邪魔にならないように、静かにリンゴを齧った。  聞いたことのある声がした。  モザイクの男の声は知り合いかもしれない。さっきパーティが終わったばかりの部屋にまた酔っぱらった女が二人運ばれてくる。どちらもやはり素人だ。女子大生だろうか。モザイクの腕の中で女の衣服がはぎ取られていく。本来モザイクをかけるべきそこが露わになっても、男の腕や背中は丁寧にモザイクがかけられている。ああ、これはやっぱり組の三下が小遣い稼ぎに作ったやつだなと呆れて溜息がでた。  あーあ、こんなアホどものためにせっせと金を作っていたのかと思うと情けない。一人の女がいきなり目覚め暴れる。鞄や枕、ツボ、わけのわからん調度品を投げて応戦する。いけ、戦え! 寄ってきた男を張り倒して、ヒールで顔を蹴るが後ろからもう一人の男に羽交い絞めにされあっさり服を脱がされた。  急激に腹が下って、明治を蹴り飛ばしてトイレに駆け込んだ。

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