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「あぁ……っぐ……はぁ、は……っ」  先程から執拗に後孔から聞こえてくる濡れた音に、俺はシーツを掴んだまま顎を上向けたまま喘ぐ事しか出来なかった。  純一の指が蕾を拡げるように何度も出入りを繰り返し、中では俺が吐き出した精液を塗り込めるように指を動かす。  女でもあるまいし……と思うほど俺のそこは潤い、純一の指を三本難なく銜え込んでいた。 「――貴文のココにもう誰のモノも入れさせない。俺だけの……」  熱に浮かされたように呟いた純一は、一気に指を引き抜くと自らスラックスと下着を脱ぎ捨て、シーツの上に膝立ちになると臨戦態勢の楔の先端を潤んだ蕾に押し当ててグリグリと抉るように動かした。  それだけで俺は我慢出来なくなり、シーツを掴んで自ら腰を寄せた。  しかし、そんな俺から逃げるかのように離れた純一にぐっと奥歯を噛んだ。 「……れてっ」 「ん?貴文、何か言ったか?」 「――れてって言ってんの! 「聞こえない。ハッキリ俺に聞こえる声で言って」  純一の声は意地悪ではあるが甘い。それが悪魔の囁きに聞こえるか、天使の囁きに聞こえるかと問われれば、今の俺はどちらでも受け入れるという選択肢しかなかった。 「挿れて!早く……っ。兄貴の……挿れて!」 「もっと可愛く言って……」 「な…っ!――お、お兄ちゃんの……挿れてっ」 「どこに、何を挿れればいいの?」 「もうっ!俺の……俺の淫乱ケツ〇ンコに太い……の…ちょうら…い!」  俺を見下ろしながらニヤつく純一にイラつきながらも、その目で見られている事に快感を覚えている俺……。  今まで抱かれてきた女性たちもこの顔を見たのかと思うと、嫉妬で胸が張り裂けそうだ。  野獣のような光を湛えた目、欲情した顔つき、唾液で光る唇……。 「お兄ちゃんの……赤ちゃん、欲しい……っ」  純一と寝た女性が誰しも考えたであろう願望を自ら口にする。  俺の言葉に満面の笑みを浮かべた彼は、膝を両膝に手をかけてグイッと力を込めて広げると、押し当てたままでも形の変わらない剛直を一気に押し進めた。 「いっぱい注いでやるからな、貴文……」 「んあぁぁ……っ」  指とは比べ物にならない太さと密度に、薄い蕾がじわじわと広げられていく感覚が脳を直撃する。  あれだけ解してもなお切れてしまうのではないかと恐怖さえ覚える。  ズンッと腰を突き入れられるたびに、下生えの間で揺れる俺のペニスからは白濁した蜜が飛び散った。  双丘に彼の下生えの感触を感じ、根元まで入った事を知ると息を細く吐いた。 「あぁ……もう、これだけでイキそうだ。貴文……気持ちいイイよ」 「俺も…っ」 「兄弟で繋がっているぞ……。お前の尻に俺のチ〇コがしっかり入ってる」 「あん…っ、は…恥ずかしいこと……言うなっ」 「恥ずかしいことなんか何もないだろ?小さい頃から見ていたんだから……」 「エ…、エロ兄貴っ!」 「そういうお前だって、イヤらしい弟だろ――動くぞっ」  グッと押し込まれた熱が内臓を押し上げる。今までこれほどの衝撃を経験したことがあっただろうか。  純一の面影を追いながら抱かれた夜……。  でも、それは虚像でしかなかったことをまざまざと思い知らされる。  彼の熱、体温、肌の質感……それを感じている今、すべてが嘘であったのだと。  兄弟で繋がる事――禁忌を犯す背徳感。それを凌駕する愛情。  俺たちにはそれしかなかった。 「あ、あ…っ。あぁ……すご、い!…奥、あたって……るっ」 「あぁ…貴文の中、熱くて……気持ち…いいよっ。さっき入れた精子が……グチュグチュって……聞こえるだろ?いっぱい掻き混ぜて……俺の精子と……はぁぁ…っ」  純一の息遣いがだんだんと激しいものへと変わっていく。額から流れ落ちる汗が俺の下腹に落ちた。  腰を引き寄せるようにかけた両手に力が入り、俺の腰は完全にホールドされる。  こうなったら逃げることは不可能だ――いや、逃げることなど考えられない。  俺は彼の精子を受け入れるためにいるのだから……。 「あ、あ……ヤバい。も……っ」 「はあ、はぁ……出して。兄貴の……精子……ちょ、だい」 「ぐ…っ、締めるな……キツ、い!貴文……はぁ、はぁ……や、も、持っていかれるっ!」 「やぁ…奥……奥、きも……ち、いい!ひゃ…っ、来る……来る…来ちゃうっ」 「イク……イクよ――っぐあ!」  力任せという表現が当てはまるほど純一に腰を突き込まれ、俺は体を大きく跳ねさせた。  仰向けで膝を折り曲げられたままではあるが、シーツから浮いた背中は弓のようで、それほど激しい快感に一瞬ではあったが意識を失った。  大きく口を開けたまま声にならない声を発し、絶頂を迎える。  腹から胸にかけて白濁が飛び散り、その勢いでペニスがブルリと跳ねた。  最奥に突き込まれた純一のペニスからは火傷しそうなほど熱い奔流が叩きつけ、俺の中をしとどに濡らした。  長い射精を終えてもなお変わることのない質量に、意識を取り戻して息を呑む。 「――はぁ、はぁ…。大丈夫か、貴文」  繋がったまま上体を倒し、俺にキスをくれる彼の優しさに涙が流れ落ちた。  それに気づいた彼は目を見開いてから少しだけ曇った表情を見せる。  兄が弟を抱く――。  罪を犯した自分を責めての事か、それとも俺を傷付けたと思っての事か……。  兄である純一を自らの意志で受け入れたことに何の後悔も罪悪感もない。  そんな顔を見ていたくなくて、俺は力の入らない手をそっと伸ばして彼の頬を包み込むように触れた。 「ど…して、そんな顔……する?嬉し……のに」 「貴文……」 「俺……抱いて、後悔する……とか。そんなに……良くなかった?」  純一は黙って首を横に振った。そして、彼もまた目を潤ませながら言った。 「――やっと、俺の……モノに、なった」  安堵したように息を吐き出した彼の髪をグシャリと撫でてから、俺はキスを強請るように舌を伸ばした。  唇で舌を挟むように啄む純一に、今度は俺が意地悪く笑って見せる。 「今度は……俺が、兄貴を孕ませてやるよ」 「楽しみだな……。処女ではないが、いいか?」 「マジで?兄貴ってバリタチだと思ってた……」 「若い頃に何度か、な……。お前に処女を捧げられなくて残念だった」 「俺も……」  互いに笑い合いながらキスを繰り返す。  汗ばんでいても彼の肌が触れていることに嫌悪感を感じない。  むしろ、もっと重なっていたいとさえ思う俺は快楽をこよなく愛する淫乱だ。 「――ほら、また大きくなる前に抜けよ。俺が綺麗にしてやるから」 「はいはい。さすがの俺も貴文の前ではただの下僕だな」 「こんな愛しい下僕がいてたまるかっ!俺たちは兄弟であり恋人だぞ?そこには主従関係はない……」 「恋人……。そう思ってくれるのか?」 「え?俺はそう思ってた……けど」  ビクッと膨張しかけた楔をズルリと引き抜いた純一は俺の背中に手を差し入れると、そっと体を起こしてくれた。  逞しい筋肉質の肩につかまりながら、そのまま体重をかけて彼の体を押し倒す。  広い胸に顔を埋めて赤く色付いた乳首を甘噛みすると「んっ」と息を詰めた彼の喉仏がやけにいやらしくて、俺は迷うことなく歯をたてた。

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