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――ほら、もっと腰上げろよ。孔、広げて」 「ん…はぁ、はぁ……っ、貴文……焦らす…なっ」 「焦らしてない。ちゃんと解さないと……俺の入らないから」  純一のモノに比べれば少々劣るが、その辺の奴らよりは立派なモノを持っていると自負している俺。  完全勃起状態になれば太さも硬さも十分すぎるほどだ。  それを、ここ数年男を受け入れることのなかった純一の中に沈めるということは、それなりの準備が必要となる。  ベッドの脇に置かれたナイトテーブルの抽斗に仕舞われていたジェルを取り出してきたのは純一の方だった。  それを使い、うつ伏せで腰だけ上げさせた彼の蕾を丁寧に解していく。  思った以上にそこは柔らかく、俺の指の動きに順応している。抽挿を繰り返すたびにヒクヒクと収縮を繰り返す彼の蕾が愛おしくて仕方がない。  時折、その薄い粘膜に舌を這わせ、抉るように中に差し込むと吐息交じりの嬌声が漏れた。 「――いい声」 「う…うるさいっ」 「褒めてるんだけど……じゃあ、ここは?」  三本の指を根元まで突き込み、中にあるわずかな突起を指の腹で撫で上げると、純一はシーツを握りしめて一際大きな声をあげた。 「あぁぁ…そ、そこ……だめぇ……」 「み~つけた。兄貴のいいトコロ……」 「んぁ……やめっ……た、たか…ふみっ」 「腰、揺れてる……」  引き締まった腰が何かを強請るように艶めかしく揺れている。  普段、禁欲的なスーツを完璧に着こなすエリート上司が、弟の俺に尻孔を弄ばれて強請る姿を一体誰が想像出来るだろう。  たっぷりとした陰嚢の向こう側にはビクンと跳ねる太い茎が見える。それがつい先程まで俺の中で暴れていたと思えば、愛おしさも倍増する。  先端から大量の蜜を垂れ流し、シーツに染みを作っている。  俺は自らのモノを片手で上下に扱きあげながら、純一に極力苦痛を与えないために限界まで硬くする。  スムーズに挿入するには相手だけでなく、挿れる側の配慮も必要となる。  そう考えると純一はちょっと強引な気もしたが、抑え込んでいたものが爆発してしまったあの状態では仕方のないことだと思えた。  本当なら俺だってそうしたい――。  でも、最愛の純一の苦痛で歪む顔は見たくない。 「――兄貴。そろそろ、いい?」 「挿れて……くれ。お前の…欲しいっ」 「俺にもちゃんとおねだり、して?」  純一は熱っぽい視線を後ろにいる俺に向けると、濡れた唇をねっとりと舐めた。  乱れた髪が額に汗で張り付き、他人には決して見せない艶を見せる。 「貴文……孕ませてくれ。いっぱい…注いで、ほ…しいっ」  ごくりと唾を呑み込んで、俺はベッドの上に立ち上がると彼の腰を掴み上げて、期待して待ち構えている蕾に真上からペニスを打ち込んだ。 「んあっ!」  ミシミシと襞が広がっていく感触、その先に待ち構えていた熱い場所。  グッ、グッと彼が息を吐くタイミングで腰を押し進め、長い時間をかけて根元まで埋めると頬まで伝った汗を拭った。 「――入ったよ、兄貴。目一杯俺のを頬張ってるの丸見え…」 「やぁ……貴文。く、苦しい……凄い……圧迫感…」 「動いちゃってもいい?もう少しなじむまで待とうか?」 「い……動いて……いいっ」  躊躇いはあったが、彼が言うのであれば仕方がない。  俺はミッチリ食い込んだペニスをギリギリまで引き抜いてから、ゆっくりと沈めていくといった動作を繰り返す。 「あ、あぁ……すご……ぃ。貴文の……ペニス…入ってる……っ」  喘ぎながら卑猥な単語を吐く純一は、抽挿のタイミングで腰を振り始めた。  中で俺の形を覚えた粘膜がしっとりと絡みつき、最高に気持ちがいい。  体の相性が良いというのはきっとこういう事を言うのだろう。  張り出したカリで彼のいい場所を擦ってやると、低く呻きながら体を小刻みに痙攣させている。  ジェルだけでなく次第に潤み、抽挿もスムーズになってくると俺のペースも自然と早まった。  パンパンと互いの肌がぶつかる破裂音が部屋に響く。  二人の激しい息遣いと、汗の匂い、そしてグチュグチュと結合部から漏れる卑猥な音が、エアコンで冷やされた空気を熱く、そして淫靡に変えていった。 「――ヤバい、俺……もたないっ」  予想以上の気持ちよさに、俺の方が先に根をあげそうだった。  純一よりも先にイッってしまうというのは何となくプライドが許せなくて、俺はグッと奥歯を食いしばって、動くたびに揺れていた彼のペニスを手でそっと握ると上下に扱いた。 「ひゃぁぁ!やめ……それ……やめて!イ…イッちゃうからぁ……貴文ぃ~!」 「イケよ!俺にケツ掘られて前扱かれて、思い切りイケよ」 「やらぁ……!そんな……やらぁっ」  シーツに顔を埋め、舌足らずに叫ぶ彼の広い背中は、俺にないはずの加虐心を煽る。  自分よりも少しばかり大きな体を震わせながら喘ぐ純一が愛おしくて仕方がない。  何度もイキそうになったが、括約筋をキュッと引き締めてやり過ごすと、純一がすすり泣きを始めた。 「どうした、兄貴……」 「も……イカせて。お願い……っ」 「イキたいのか?」 「う…うぅ……っ。精子……欲しい…。貴文の……欲しいっ」  幼い頃、俺を守るために盾になってくれていた男が、快楽が欲しくて泣きながら懇願する姿――しかも全裸で腰を高く上げたアラレのない格好で。 (堪らない……っ) 「――俺の子供、孕むか?」 「うん、うんっ!貴文の……ちょうらいっ」 「よしっ!じゃあ、行くよ……兄貴」  可愛らしく強請る彼に触発された俺は、もう耐えることはなかった。箍が外れたように勢いよく腰を叩きつけると、彼もまた可愛く啼いた。  じわじわと隘路を駆け上る熱が出口を見出した時、俺は彼の最奥に届くように深く腰を突き込んだ。 「出すぞ!――ぅあぁ……ぐっ!」 「イク、イク……イクッ……あぁぁぁっん」  パタパタと音を立てて飛び散った白濁は、さっき俺の中に出した後とは思えない程大量だった。  内腿を痙攣させたまま蕾をキュッと締め付けた純一の中で、俺もまたありったけの精液を吐き出していた。  なかなか止まることのない射精に、溢れてしまうのではないかと思うほど注ぎ込む。  その間も純一は背中を喘がせながら小さく喘いでいた。  肩で息を繰り返し、汗を拭いながらペニスを引き抜くと、ぽっかりと開いたままの赤い蕾からトプリと白濁が溢れ出し、シーツに流れ落ちた。  その光景はとても煽情的で、俺は思わず彼の臀部をかき抱くようにして何度もキスを繰り返した。  力なく崩れ落ちた体をシーツに沈めた純一の背中に重なったまま、何度も唇を押し当てた。  兄である男に精液を注ぎ込み征服した瞬間、俺たちは共に深い闇に堕ちた。 「好き……愛してる。もう……離さないから」  うわ言のように囁いた俺に、わずかに身じろいだ純一もまた唇を震わせた。 「貴文……愛してる。俺のモノ……ずっと、一緒だ」  誰にも知られてはならない禁断の関係。  俺たちの背に生えた漆黒の翼は闇への扉を開いた。 「一緒に……堕ちよう」 「あぁ……どこまでも、な」  囁く言葉さえも無粋に思えて、俺たちはただただ唇を重ね合わせた。

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