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第32話 NO SEX NO LIFE 2
仁王立ちする五十嵐の丸出しの股間を見て、フン、と鼻で笑う奏汰。
「フフ、男としては僕が勝ってますよ、五十嵐さん」
なぜか勝ち誇った顔でスウェットパンツの履き口に手をかける。
え、ちょっとちょっと嫌な予感・・・まさか・・・
「僕のが大きいです! 蓮くんは大きい方が好きですから!」
勢いよく下着ごとスウェットパンツを下げてドヤ顔をする。
やっちまったよ、もうほんとバカ。まじでバカ!
五十嵐はゲイのウケ専だっつーのに、なんでそんな見せつけるようにそこ晒してんだよ~。
つか大きい方が好きなんて俺言ったこともねーし!
「わあ♡奏汰イイもん持ってんだね。ますます蓮が羨ましい。俺勃っちゃいそ」
案の定 瞳を輝かせた五十嵐が奏汰の股間に釘付けになる。
「負けを認めてパンツを上げてください、五十嵐さん」
「そんな惨めな事できると思う? 俺のプライドが許さないなぁ」
イヤイヤ五十嵐。プライドも何もただふざけてただけだろって。
「お前ら、どっちも早くしまえって・・・」
「そうだ。蓮にどっちのがいいか決めてもらおっか? 選ばれた方が尺ってもらえるってのどう?」
「えっ!?」
とんでもない事を言い出す五十嵐。
そんなの彼氏である奏汰のに決まってる、だからって人前でやる行為じゃない。
「五十嵐いい加減にしろよ!」
「蓮くん、もちろん僕のだよね?」
「そりゃそうだけど、こんな」
「蓮がしないなら、俺が奏汰のペロペロしちゃおっかな~。めっちゃ美味しそうだし」
「どうするの? 僕のが五十嵐さんに舐められちゃうよ、いいの?」
いいわけないだろ。だからって・・・
ああもう、なんっだよ、このカオス空間は!
俺は頭を抱えて蹲る。
「蓮は選べないみたいだな。残念だったね奏汰、代わりに俺が気持ちよーくしてやるから」
「まっ、待て!」
させるかよ。目の前で奏汰が他の奴にフェラされるなんて無理だ。
「やるの? 蓮くん」
「や・・・、る」
「じゃあ顔上げて」
奏汰に顎を持ち上げられ仰ぐと、まだ反応していないそれが20センチほど先にある。
いつもはイキリ勃ってるそこが項垂れてるのがなんだか・・・
って、どんどんデカくなってっし!
「かなっ、おれ、まだ・・・何もしてねんだけど・・・」
「そうだけど、蓮くんにしてもらえるなんて、もう期待だけでイキそうになるでしょ」
頬にピタリと先端を当てられて、俺は唾を飲む。
「舐めて、蓮くん」
「ぅ・・・」
心臓の音がうるさい。耳の奥で脳まで揺らすほどに脈打ってる。
「奏汰のすっごいね。高校生でコレ? 大人になったら色も形もエグくなりそ~。ほら蓮、口開けてアーンして」
五十嵐がすぐ近くで見てる。
奏汰のこんなとこを見せたくないのに。俺のこんな姿を見られたくないのに。
床に着いた手も膝も震えてる。独占欲なのか羞恥なのかわからない感情で、何故か『やらなきゃ』と思ってしまう。
開いた口から出した舌までもが震えて、上手く息ができない。
もう少し・・・もう少し舌を伸ばせば届く・・・
「ハイ、ここまで。蓮くんもういいよ」
俺の頭を撫でた奏汰が下着を上げる。
「え・・・、なんで・・・」
いやこれでいいだろ俺! 何ちょっと残念みたいな気持ちになってんだよ!
「蓮くんのエッチなとこ、他の男に見せたくない。五十嵐さん、もう帰ってください」
「ちえっ、残念。見たかったのにな~」
意外にも素直に従った五十嵐が服を整え「蓮に飽きたら相手してよ」と奏汰に言って部屋を出て行く。
俺は五十嵐に怒ることも忘れて、床に手を着いたままで立ち上がれないことに気付く。
「蓮くん、もしかして腰抜けちゃってるの? そんなに嫌だった? ごめんね」
「違くて・・・俺、」
どうしたんだこれは。俺、フェラ寸止めされたのに勃ってる。
本当は期待したのか・・・? 奏汰のそこに触れることに、無理矢理にでも咥えさせられることに。
腰が抜けるほど興奮してひとりで感じてるとか、気持ち悪すぎるだろ。
「・・・勃ってるの?」
「っ、そんなわけ、」
「五十嵐さんに、チンコ咥えてるヤラシイ顔見られたかったんだ?」
「違う! 奏汰の、舐めるんだって思ったら興奮して!」
「やっぱり舐めたかったんだ?」
しまった。
つい口を滑らせてしまったのを奏汰が聞き逃してくれるはずもなく、ニヤリと笑う不遜な表情を向けられる。
ベッドに腰掛けた奏汰がもう一度下着を下げ、自分の屹立の先を俺に向けて握る。
「蓮くんがしてくれるって考えただけで、僕こうなっちゃうんだよ」
先端の濃い赤色の小さい割れ目から、透明な液体が溢れてる。
「僕が蓮くんのしてるみたいに、できる?」
「う、・・・ん」
ノンケの奏汰にしゃぶらせて、俺がしてなかったってのもおかしな話だ。
もっと早くこうして当然だったのに、奏汰は何も言わなかったし無理強いもしなかった。
本当なら俺が奏汰を気持ち良くしてやらなきゃダメなのに。
躊躇ってる場合か!
ゲイなんだから、五十嵐みたいにフッ切れてた方がよっぽど潔くてカッコイイだろ!
俺は奏汰の屹立に思い切ってかぶりつく。
「い゙・・・ッ! 蓮・・・く、歯っ」
「ごっ、ごめ・・・」
苦渋の表情の奏汰が屹立を両手で握る。
ああ~・・・、やっちゃったよ・・・。気を付けてたつもりだったけど、奏汰の亀頭が思ったより規格外なばっかりに前歯が当たってしまった。
「うう、いいよ。蓮くんがこういうの慣れてない証拠だから。僕にとってはこの痛みも喜びだよ・・・」
「・・・あー、うん。ごめん」
悪いことをしたなって思う。でもなんかいちいち言い方がキモイんだよな。
まあそれでも好きなんだけど。
「無理に咥えなくていいよ。その分舐め回してくれれば」
「あー、うん」
やっぱキモイなこいつ、と思ったりしないでもない。
だけどそんなのは、俺の頬を包む大きな手や下唇を押し下げる親指に翻弄されてすぐにどうでもよくなる。
「五十嵐さんとさ、仲良いのはわかってる。でもあんなことしないないでよ、お願いだから。心臓持たない」
俺がしたくてあの状況になったんじゃない。
「蓮くん、裏切らないで。もし蓮くんが浮気なんかしたら、僕、相手殺しちゃうかも」
殺しちゃうかも、って・・・
冗談を言ってるにしては仄暗い殺気を纏ったような奏汰の瞳が妙に恐ろしい。
「あ、あいつは、そんなんじゃない。マジで・・・ほんとふざけてて」
「うん。わかってる。だから殺さなかったじゃん。蓮くんが僕以外のものを舐めるだなんて、天地がひっくり返っても無いって信じてるから。そうだよね?」
笑顔、なのかこれは。
にこやかに見える奏汰から、物凄い圧と重すぎる何かを感じるんだけど。
「う、うん。奏汰と付き合ってるし、今のとこは」
「『今のとこは』、か・・・。まあいいや。続き、してよ」
押し当てられた屹立が先走りで唇の上を滑る。
「閉じてちゃフェラになんないよ。舌出して」
「は・・・」
俺は唇を開いて舌を出す。
舌で触れたそこはつるりとしていて、先走りは少ししょっぱい。
奏汰の味って、こんなだったんだ。
途端に後ろが きゅんと疼く。
下着の中で前が張り詰めて痛い。
「舐めたまま、下脱げる?」
「ん」
奏汰の言葉は決して命令調じゃない。
けど従わなきゃいけないような気分になって、恥ずかしくて堪らないのに理性が崩壊しそうなほど昂ってしまう。
「蓮くんモジモジしてる。触ってほしい?」
「いら、ね」
舌で円を描いて軽く吸う。俺の唇と奏汰のそこで糸を引いて切れる先走り。
頭がクラクラする。五十嵐がよく「ちんぽ大好き♡」と言ってるけど、その気持ちが今わかる。
はしたないかもしれないけど、俺は奏汰のここが好きなんだ。
陰茎の裏側を根元から舐め上げ、緩く吸い付くように口付けながら舌で通った所を辿る。
陰嚢を唇で挟みながら薄い皮膚越しに睾丸を舌で撫でると、奏汰が「は」と小さく息を吐いた。
見上げれば視線が絡んで、「蓮くんのエッチ」と目を細める奏汰。普段は子供っぽい無垢そうな瞳が熱を帯びてて、抱き合ってる時に奏汰が見せるそれと同じで、俺は触られてもいない背中がぞわぞわしてくる。
俺の下手くそな口淫で感じてくれてる。
どうしようもなく興奮してもっともっと感じさせたくて、奏汰の屹立の先を口に含む。今度は歯を立てないよう慎重に。唇で扱いて舌を絡ませ上顎に擦りつけるように頭を上下させる。
「まっ、蓮くんっ! ストップ!」
なんで。嫌だ待てない。引いた奏汰の腰が逃げないように捕まえる。
「・・・っ、」
耳の辺りを覆う奏汰の手が熱い。
上顎に生温い流動がかかって舌の奥に落ち、喉へ入ってくる。喉を上下させると張り付くほど粘り気のある液体が更に奥へと流れる。
不可抗力で咳き込み、飲み込み切れなかった白濁が床に落ちる。
「ごめんっ、大丈夫!? 出すつもりじゃ・・・」
「ケホッ、・・・ん、へーき。俺が、イかせたかったから」
「あーどうしよ。こんなのされたらもっと蓮くんを好きになっちゃうじゃん」
「・・・う、ん」
うん、俺も。奏汰への『好き』が止められなくなる。深みに嵌りたくないのに抜け出せなくなる。
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