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第33話 NO SEX NO LIFE 3

顎から床に落ちた白濁を見れば奏汰をイかせた達成感すら快感になって、堪らず俺は自分の屹立をぎゅっと握る。 「ぅ・・・、」 すぐに迫り上がる射精感。俺は屹立の先を覆った手のひらで受け止める。 「あっ!? 蓮くんてば酷い! なんで自分でやっちゃうの~」 そんなこと言われても。俺だってもう限界で出したくて・・・ すぐに汚れた手と床を拭き、下着を上げようとして 「・・・?」 どうして。出したのに、体が疼いたままで苦しい。 腹の底が物足りなさを感じてる。 「お尻、さみしいの?」 「あッ」 胸に伸びて来た奏汰の指がTシャツ越しに突起を掠めて、思わず上擦った声が出てしまう。 イッたばかりで体が敏感になってるせいだ。 膨らみの無い胸で落胆させたくないのに、奏汰の指の背に突起を撫でられて微弱な電気が流されてるみたいに気持ち良くて、いつもみたいに振り払えない。 「いやだ、そこ・・・」 乳首だけで感じているのが嫌で、俺は後ろに手を伸ばす。 「だめ。触んないで。後ろも、前も」 手はここ、と奏汰の膝を掴むよう言われて仕方なく両手を置く。 「蓮くん、おっぱいも気持ちいんだもんね」 俺は首を横に振る。 「そ? じゃあ勝手にイッちゃった罰で、気持ち良くないとこずっと弄られる刑執行ね」 「え!?」 「気持ちいとこ弄られまくって明日足腰立たなくなるよりマシでしょ?」 「う・・・」 それはマズイ。この流れは絶対セックスするだろうし。明日は可燃ごみ収集の日、イカ臭い大量のテッシュを朝 捨てに行かなきゃいけない。 「大丈夫。痛いことはしないから」 「う・・・ん」 布越しに指先で小刻みに引っ掻かれ、じんじんと熱がそこに集中する。 「・・・ぅ、」 声が、出そうだ。 気持ちいいかわからない、なんて、ただここが感じるって認めたくないだけ。 何度も奏汰に弄られたからもう立派な性感帯になってしまってる。 でも 「俺、巨乳じゃ・・・ない」 だからきっと奏汰はこんなとこ触っても面白くも何ともないだろ。 「蓮くんが巨乳だったら気持ち悪いでしょ。このちっちゃい乳首がいいんじゃん」 「ぁ、あっ」 きゅ、と抓られて潰される痛みに、我慢していた声が漏れる。 「てめ、痛くしねーって言ったのに!」 「巨乳になりたいんだろ? 全体的には無理かもしれないけど、ここだけならおっきくなれるよ」 力任せに捏ねられて、あまりの痛さに奏汰の腕を掴む。 「ひ・・・ッ、や、痛・・・うぅ」 「おっきくなったかな? 確認しないと」 ベッドに引き倒されて仰向けになり、跨った奏汰にTシャツを捲り上げられる。 「少しぷっくりしてるくらいかぁ。吸ったらきっともっとおっきくなるよ。僕に任せて」 「ちょ・・・任せらんねぇから!もいいって! い・・・っ」 突起をくるりと舌で一周して吸い付く奏汰。 俺は抵抗した手を『気をつけ』の状態で押さえつけられて体を捩るけど、強く吸われたばかりのそこに噛み付かれてしまう。 防衛本能が、これ以上暴れたらもっと痛い目に遭うかもしれない、と抵抗しない事を選択する。 奏汰は大人しくなった俺を確認して噛むのをやめ、突起を吸いながら舌で転がし始める。 痛みを持ったそこに湿った感触が纏わりついて、離してくれない。 「ん・・・、ううッ、・・・ぅ。奏汰、もお離せっ」 触られているのは胸なのに、下半身が熱くて溶けてしまいそうだ。再び勃ち上がった前よりも後ろに触れて欲しくて堪らない。空っぽの中が収縮して腰が震える。 「んなとこちまちまイジくってないでヤルなら早くヤれよ変態!」 「そんなこと言って、ほんとはイキそうなんでしょ。コリコリの乳首弄られまくってプルプルしてんじゃん。どっちが変態なの」 「う・・・」 恥ずかしさで顔から火が出そうだ。 マジで、どっちが変態だよ。男なのに男が好きで、歳下の高校生の咥えてイクわ乳首弄られて気持ち良くなってるわで俺のが変態だろ。 けどそんな俺を見て目をギラッギラにしてるこいつだってやっぱり狂ってる。 「お、俺のこと好きでしょうがないくせに! いいから自慢のデカチン早く挿れろよ!」 「は~・・・もう、なんなのその煽り方。そうだよ、好き過ぎて憎たらしいくらい。わかってるならつまんないこと気にしないでよ。巨乳だろうが貧乳だろうが、蓮くんだったら何でもいいんだから」 開発ボックスからジェルとコンドームを取り出し、奏汰は自分のそれに被せるだけじゃなくご丁寧に俺のそれにも被せてくれる。 「汚しちゃったらすぐに寝れないでしょ。タオルも敷いとこっか」 俺の腰を持ち上げ手際よくバスタオルを敷き、指に絞り出したジェルを窄まりの縁に沿って塗ってくれる。 至れり尽くせり・・・ こんな扱いされてたら、俺ダメ人間になんない? 「奏汰、俺っ自分でやるから!」 「・・・なに、急に。僕じゃ不満なの?」 「不満とかじゃなくて、お前にばっかやらせて悪いから」 「僕がしたいんだよ。蓮くんよりも蓮くんの体、全部知り尽くして管理したい。僕とのセックスじゃなきゃ満足できない体にしたい。いいよね?」 「いいわけねえだろ!」 「知らない。するって決めてるから」 聞いといて俺の意思はシカトかよ。 なんだかんだで我儘で押しが強いんだよな、こいつ。それも嫌じゃないから困る。 五十嵐は俺を『羨ましい』と言った。『愛されてる』って。実感はしてる。 でも、永遠に奏汰の好意が俺に向けられるとも思ってない。 俺が結城さんを簡単に諦められたように、奏汰が彼女と別れたように、俺達にもきっと終わりが来る。 そうなって残されるのはおそらく、奏汰に与えられた快感を覚えて持て余す体だけだ。 わかってるのに、どうして求めるんだ。 「ん・・・んぅ・・・」 「蓮くんどうしてお尻の中、綺麗なの。今日、ヤるつもりだった?」 「別、に。奏汰が、ぁ、したいなら・・・いつでもって」 「毎日そうやって準備してるの? だからこんなに柔らかくなるの早いんだ?」 「毎日じゃ、ない」 「そっか。せっかく蓮くんが待ってくれてたのに、最近は僕、すぐ寝ちゃってたもんね。ごめんね」 待ってた、のか俺。だから今こんなにも奏汰の熱を受け入れることに期待してドキドキして、いつもは届かない奥まで埋めて欲しくなってるのか。 ナカが奏汰の形に押し拡げられて大きさに慣れるまでゆっくりと抽挿されて、恥骨の裏側を抉られると堪らなくて、薄いラテックスの膜の中に白濁が溜まる。 次第に速くなる奏汰の腰。 いっそ強く打ち付けてほしいのに、大きさのせいで全ては飲み込めず、俺と奏汰の隙間は無くならない。 「かな・・・っ、奥まで、来て」 「だめだよ。蓮くん壊れちゃう」 壊れたら俺はどうなるんだろう。奏汰はどう思うんだろう。怖い。 でもその先が知りたい。 「いいっ、から・・・!」 奏汰の腰を脚でホールドして引き寄せる。 ズンと重い衝撃が腹に響いて、ぞわりと鳥肌が立った。 「あ・・・、あ・・・」 「ここで終わりじゃないんだよ? この先もあるのに、大丈夫?」 腹の底に当てられた屹立の先が内蔵を押し上げてくる。吐きそうになって震えが止まらない。何度もそうされているうちに、吐き気なんて忘れて俺が零すのはあられもない喘ぎだけ。 「あっ、あ゙・・・ッ、や、」 「嫌なの、やめる?」 奏汰が眉を寄せ片目を細める。イキそうになってる時の顔だ。 「や・・・、やめんな。奏汰・・・っ」 『好き。俺の体にハマって溺れてほしい。お前が離れられなくなればいい』 言えないけど。 「も、無理。ごめん」 「は・・・」 両腕を強く掴まれ一度引いた腰をめいっぱい突き出されて、俺は視界がチカチカと点滅する。 「・・・ぁ、」 一瞬、声が出なくて喉が「ひゅっ」と鳴る。 ゾクゾクと背中を這い回る快感とナカの圧迫感で、体中どこにも力が入らない。 ただナカが、自分の意思とは切り離されたように蠢いているのだけはわかる。 「あ゙・・・、あぁ・・・ッ」 臀部に隙間なくのしかかる奏汰の重み。 腹の中が熱くて、膨らむ奏汰のそれが果てた余韻まで捉える。 飛びそうになる意識を、髪を梳く奏汰の手が何とか保ってくれる。 「すっごいキツイ・・・、千切れそう」 荒い息遣いで縋るように抱きつく大きな体が震えているのに気付いて、俺は力の入らない腕で抱き締め返す。 「あした・・・ゴミ出し・・・」 「うん。学校行く時出してくから、ゆっくり寝てていーよ」 やっぱり俺はダメ人間にされてしまう。 「蓮くん、ガクガクしてる。可愛い、好き。全部僕のもの」 そうだよ。奏汰が望んでくれてる間は、俺はお前のものだ。 だから、なるべくたくさん俺を求めてほしい。 俺達が終わる時、もう十分だと思えるように・・・。 男同士なんて未来が無い、と思ってる俺はこのとき気付けなかった。 奏汰が真剣に俺との未来を考えていることに。 奏汰の一生をかけて全身を開発され、奏汰無しでは生きれない人生にされてしまう計画が進行中だということに。

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