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06 「――その代わり、」
倒すどころか、こうして毎週土曜の深夜……気づけば、すぐるの隣で『まやりん☆まじかるんっ!!』を一緒に視聴している始末。
オレは手先だけじゃなく、恋にも不器用なのか…!?
ああ……色々こんがらがって、無性に喉が渇いてしかたない。
頭も何だかクラクラしてきた。
どうしよう、どうすればオレはすぐるを振り向かせることが出来るんだろう。
それとも、もう叶いっこないと――この恋を諦めるしかないのかな。
……諦める? 引っ越してから今まで、もう毎日のように一緒に過ごしているのに? っ、そんなの無理だ。こんなにいつも傍にすぐるの存在があって、どうやってそれをかき消せるんだよっ…!?
それにっ、それに――
「――っくん!! 所沢くん…!! っ、やっぱりどこか具合悪い? 大丈夫? もう横になる? 僕のベッドに…あっその前に一応体温測っといた方がっ…」
「っ……」
ほら、オレの恋心には全然気づかないのに……こういう所には、ほんと目ざとくてさ。
っ、ほんと、もう、
「だいじょう、ぶっ、だって…心配してくれて、ありがとな……それよりも、オレっ喉乾いたっ、園田ぁ…あっちの缶取ってぇっ…」
「! ……所沢くん、これで今日五本目だよ? いつもよりペース早すぎない? …というか、普段は全然お酒飲まないのに、どうしてまや☆まじっを見るこの時間になるといっぱいお酒読むようになるのさ…?」
「っ!! ……べ、つに…いいだりょっ…オレがいつ酒のんらってぇ…」
「そう、だけど…でもっ…」
そう、普段は全然飲まない酒をこうしてこの時間になるとぐびぐび口に運んでしまうのも……そんなの、理由は一つだけに決まってる。
けれどああ、確かに今日はいつもよりハイペースかもしれない。
でも……だって、しょうがないだろ? こんなの飲まなきゃやってられないっ。
なぁ、すぐる? オマエの――
「とにかくっ、今日はもうお酒はやめとっ……」
「やめりゅ、おさけ……やめる」
「! そ、そっか…! ははっ、じゃあ所沢くんが本格的に潰れちゃう前にそろそろ寝…」
「――その代わり、オマエに好きなやつがいるのか教えりょ、すぐる」
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