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第6話
「ハハ、冬治酔っ払ってる? 普段は照れ屋なくせにやっぱ秋峰のこと大好きなんだなー」
「天野、笑いごとじゃない。店の人を呼んで、すぐみんなの飲み物を下げてもらってくれ。あと水。俺は動けないから」
はいはいと天野さんが立ち上がって、他のへべれけな皆に飲み物を飲まないよう言い置いてから、座敷を出て行った。
「おい、平気か? 冬治。具合悪いなら救急車を呼ぶぞ」
俺をなるべく動かさないように半身を起こして、腹の上に頭を寝かせてくれる。優しい。好き。
回らない頭なりにこんなチャンスを逃してたまるかと思い、すぐ答えた。
「あー大丈夫、だいじょぶですよぉ、ちょっと気分がいいだけ」
「顔が真っ赤だ……前開けとくか。少しは違うだろ」
前。開けとく。開けとくのか……。
プチッ!
俺は力任せに引っ張って、目の前のシャツのボタンを二つ飛ばした。
「!? おい、開けるのはお前のシャツで俺のじゃな……ボタン飛んでるじゃないか!」
「あ~おっぱいだあ」
「!?」
先輩の言う通りボタンを開けたら、なぜか目の前に輝かしいおっぱいが現れた。
据え膳食わぬは男の恥と言うもんで、揉んでみないことには男が廃るってもんで。
「あ、ちょ、やめろお前っ……あっ」
揉んで、揉んで、ん……あれ?
「離っ……くっ、急病人を下手に動かせない……!」
掌は『幸せです!!』と絶叫していたが、脳の片隅で違和感を訴えていた。
なんかおっぱいにしては少し硬すぎるような……ハリがあり過ぎるような……。
「まあいっかあ」
「何がいいんだ!」
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