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第9話

 気まずい雰囲気のまま背を向けかけた秋峰さんを、俺は呼び止めてしまった。 「どうした? お前は帰って早く寝ろ。今日は一応風呂を避けてな」 「はい! ありがとうございます……って、そうじゃなくて、あの」  怪訝そうな顔をしている秋峰さんに焦り、あたふたと言葉を探す。  俺は馬鹿なのか、言うことを考えてから呼び止めろよ。 「その、さっきは酔っ払ってて」 「ああ、分かってるって。女と間違えたんだな? 酷い酔い方だけど理解してる」 「それはそうなんすけど!」  なにかとても大事なことを伝えたい気がする。  元々頭より体が先に動くタイプで言語化が難しいが、とにかく何かを伝えたかった。 「あ!」  自分が伝えたいことが分かった気がして、声を上げた。  辛抱強く待ってくれている秋峰さんの顔をまっすぐに見つめて、笑顔で叫んだ。 「さっきは一瞬間違えてたんすけど、俺もともと先輩のおっぱいが好きで!! ずっと良いなって思ってたんで!!  あと実際すげえ良かったっす!!」

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