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第80話――黒田――

 最奥にナニを打ち込む度に、久しいモノを迎え入れるように歓迎してくれる。  「レスとまではいかないだろうけど、ん、レス気味ではあったからっ、すげー締まるね」黒田もとぎれとぎれにいう。   「それっ・・・・・・すごい失礼じゃ、ない?!」 「あは、ごめんごめん、いつもすごいイイんだよ」 (俺だけが迎え入れてくれる孔だよ)  他人の形を知らない田淵の中を堪能した。最中に啜り泣くので、連動して中にも振動が伝わってくる。より一層の快楽を貪り、全て終わると、浴室から二人して出る。  だが、久しぶりの繋がりに黒田はハッスルしており、田淵を抱きかかえての退出だが、田淵は大人しい。それどころか、頬を鎖骨に擦り寄せて、懐いた猫のような愛らしさを感じる。  自然と水を拭き取る手付きが柔らかくなって、また抱き上げた。   (手放さなくて本当に良かった)  口に出すと、離れようとしていた事実を突きつけられるので言いはしない。  リビングのベッドに再び下ろし、黒田は膝をついて抱き締める。  それと同時進行で田淵の足首に再度足枷を付け直した。  「まだ、リビングから出られないの?」表情の変化はないので、大した問題とはしてなさそうだ。 「気休め程度だけど、俺が安心するから」 「そっか。せめて長さくらい延長してほしいものだけど・・・・・・」 「その譲歩は認めます」  「お、やった!!」と柔和に笑む田淵。 「明日、延長できるように買ってくるから、今日はこれで我慢してね。今日は俺一日家にいるし、何かあれば俺に言って」 「え、お休み?」 「うん、お休み貰ったよ」 「今日一日一緒?」 「うん、1週間お休み」 「1週間?!」 「そう」  「不謹慎かもしれないけど! 嬉しい!!」そういって、田淵は足元に傅く黒田を抱き寄せた。    そして、黒田は「居てくれるだけでそこがオアシス」という考えを一部訂正することにした。  ――この瞬間こそ、心のオアシスである、と。  「黒田君、チョコと珈琲をお願いします!」ベッド上で待機する田淵は上機嫌でいう。  リビングにカウンターキッチンが繋がってあるので、そこまでは足枷があったとしても自力で行くことができる。  「黒田君、パソコンで副業のチェックやりたいからパソコンを部屋から持ってきてください!」キッチンのチョコだけがストックされた棚の存在を最近知った黒田は、さも知っていたかのように当たり前に棚からチョコを取り出した。   「はいはい、チョコと珈琲と、それからパソコンね」 「はい! それとゼミナールにもお詫びの連絡をしたいので、携帯を使いたいです!」 「・・・・・・」  返事に困った。 「携帯は、もう少し貸してくれる? 俺、ちょっと見覚えのある奴がいたもんだからさ。それも黒い影が見えてるから、危ないんだよね」  それは本当である。  だが、田淵の身の潔白がほとんど証明されている今、勝手に会社を辞職させたことだけは、黒田の完全なる過失であった。  事を急ぎすぎて、やりすぎたのだ。

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