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第10話(男side)

「--貴方に心を奪われた」 そっと耳元で吐息まじりに囁くと、一気に顔が真っ赤になる。 その様子にクスッと笑みを零す。 すると、耳まで真っ赤になった彼が誤魔化すようにごくごくと喉を鳴らし一気に酒を流し込んだ。 --あぁ、そんなに一気に飲んだら危ないよ? 心の中で呟きつつ、最後まで飲み切る様子を眺めていれば。くらりと酔いが一気にまわったのだろう。 ふらりと俺の肩にもたれかかった。 グラスが割れないよう、彼の手から抜き取り、すやすやと気持ち良さげに眠る彼を見やる。 --もう、逃がさない

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